スター・A・スター

行き当たりばったりの運任せ


あたし、プロミネス・ブルー・ユリアン。
もうじき18歳の17歳にして、職業は銀河連邦−略してG連−の名誉あるブルー・ソルジャー。
現在の任務は外宇宙開発プロジェクトの総括で、探査宇宙船ネオ・プラネット号の艦長に就任している。
ネオ・プラネット号はG連の科学の粋を結集して建造された外宇宙探索専門の宇宙船で、はっきり言えば超巨大戦艦である。
で、最新鋭艦プラス最高のスタッフを揃え意気揚々と出発したのはいいけれど、いまだに内宇宙の端っこを当てもなくウロウロしている体たらく。
なぜさっさと外宇宙に出ていかないかというと、そのための航法が確立されてないからである。
正確には、今回の外宇宙探索のために「スペースホール航法」なるものが採用されたんだけど、これがまたとんでもない航法でね。
完全に机上の理論から生まれた航法なんだわ。
「誰の」机上論かはここでは敢えて触れないけど、諸悪の根元はもちろんこの船にスタッフとして乗っているわ。
ネオ・プラネット号の航海は、その「スペースホール航法」の実証実験を兼ねてるので、それが使えない限り外宇宙に出ることができないのよ。

では、スペースホール航法とはなんぞや?
一口にいうと、宇宙に存在する「穴」を利用して跳躍的な距離を一瞬にして超えるというものらしい。
ところがこの宇宙の穴というのが曲者で、いつ・どこで・どのように出現するか全くわかってないというシロモノなのだ。
存在自体は確認されてるんだけど、極めて不規則に出現するため、運用レベルにはほど遠い。
それを実用化レベルにまでもってこようというんだから、G連もとんでもなく博打的なプロジェクトを立ち上げたものよね。
と、まあ御託はここまでにして、あたしの現在のお仕事は、その宇宙の穴探し。
これまでの観測記録から一番出現率の高いこの空域でネオ・プラネット号の総力を上げて、いつ出現するかともしれない宇宙の穴を当てもなく探しているというわけだ。

「まだみつからないの?あふ…。」
出掛けた欠伸を飲み込むのにもいい加減飽きてきた。
まったく何て暇な航海なんだろ。
出発前にこのあたり(第6区)の治安回復に多大なる貢献をしてきたから、交通違反者ひとり出やしない。
「艦長、ひとつ提案があるのですが。」
「なに?」
「この地点へ向けて次元レベルでワープ許可をいただきたいのです。」
登録上はネオ・プラネット号技術顧問、その実この船の技術責任者を務めてるグリューネ・ルディーナ・K・ユリアンが書類にサインを求めてきた。
…姓が同じなのにはちょっと複雑なお家の事情があるのよ。
「機関長?」
あたしが振り返ると、ダグラス機関長はあごひげをしばたいて頷いた。
エネルギー的には問題ナシ、と。
ワープ計画の書類を見る限りではどこにも問題はなさそうなのであたしはさらさらっとサインして決裁印を押した。
「ありがとうございます。では、第2戦闘配置のまま突入します。」
「了解。」
次元ワープならその必要ないけど、次元レベルってことはどこかの空間に実体化してるってことだから当然の処置だ。
「ワープ、準備。」
その一言で停滞していた艦の機能が活性化していく。
うん、やっぱりこの緊張感がなくちゃ、宇宙に出た意味がないわ。
そしてネオ・プラネット号は次元レベルでのワープに突入した。

ワープ後、メインスクリーンに映し出されたのは、何の変哲もない宇宙空間だった。
星の数もいつもと変わらない。
ん?この方向は外宇宙へ向いていたはずよね。
ということは、この方向に星などがあるわけないから。
「未確認飛行物体、多数接近中!」
いきなり、なんなんだ〜。
「所属不明、認識番号不明、生体パターンに該当なし。」
つまり未知との遭遇ってことね。
いいじゃない、これこそ外宇宙へ出る醍醐味よ。
機械的なコンタクトは失敗したらしいので、あたしは精神レベルでのコンタクトに切り替えた。
身内以外に対して使うのは初めてなんだけど、実習レベルでは合格サインをもらってるから特に問題ないでしょ。
椅子に深く身体を沈め、細く鮮明な思考波を送り出す。
(銀河連邦所属ネオ・プラネット号艦長プロミネス・ブルー・ユリアンより、友好メッセージを贈ります。)
しかし、あたしの精神波は見事に跳ね返された。
(精神波バリア?)
それも単に跳ね返されたのではない。
故意にブロックされてはじき返されたのだ!
「レーダー、分析を急げ。探査ソナー稼働開始。」
艦橋ではエディ・ユーナス・ユリアン副長が的確なる指示を下していた。
(さすがは、兄さん。反応早い。しっかり働いてね。)
「艦長、航路を指示願います。」
そんなの航海長に任せて。はい、ここは航路図がなかったのでした。
「艦首、左舷よりに防御壁シフトしつつ反転。」
「相手方も同様にシフトしてます。」
「距離は?」
「現状維持。こちらの様子を伺っているのでしょうか。」
即座に攻撃してくる様子はないけど、あたしの精神派をはじき返したことが気にかかる。
「艦長、相手方の分析結果出ました。パネルに転送します。」
手元のスクリーンに詳細なる数値が次々と表示されていく。
うーん、これは単なる宇宙船の団体じゃなくてれっきとした艦隊だ。
各船の射程距離は、こちらより短い。ラッキー。
でも、短くても使用していると予測されるエネルギーはあちらの方が重厚だ。
気になるのは装甲の材質が薄いことかな。
ミサイル一発でどうこうと言う程じゃないけど、パルサーカノンで十分いける。
このアンバランスさは何なんだろう。
それより問題なのは。

(ブルー、感じてますね。)
それまであたしの横で眠っていたしんたが、ぱちりと目を開けている。
(あれだけ露骨な敵意を発散されたら、あたしでなくとも気が付くわよ。)
現に艦橋スタッフの中にも何人かそれを感じ取っている者がいて、あたしに危険信号を送ってきていた。
言い忘れてたけど、あたしのESP能力はS級で登録されてる。
スタッフにもB級以上の者がいて、彼らにだけはそのことを話してあるからこういう時には任意の方法で伝えてくるのだ。
縮まらない距離、アンバランスな船体に強力な精神バリア。
あたしは探査結果の情報を思考しはじめた。
その瞬間、相手方から発出されている感情が大きく変化した。
なんて明確な感情なの!
そう、それはネオ・プラネット号に向けられた殺意以外のなにものでもなかった。

あたしは最上席の艦長席を立つとフロアに飛び降りて予備の砲術席を目指した。
「ターゲットスコープ、こっちへまわして。早く!!」
驚き顔の乗組員に構わず席に着くと、ほぼ同時にルナの声が聞こえてきた。
「制御可能な全砲門、制御を切り替えました。パルサーカノン、エネルギー充電開始。ミサイル砲、安全弁解除。ショックカノン、自動制御解除。」
「了解。距離は?」
「レールキャノンン、射程距離に入ります。」
間髪入れずに返事が返ってくる。
あれ?あの子の席に砲術管理用のレーダーなんて付いてたっけ?
ううん、余計なことは考えるまい。
ルナは、あたしに合わせてこの船を調整したって言った。
それならあたしの行動を補佐する機能は全てルナの席で網羅してるってことだ。
引継時に見せて貰った船の設計図のどこにもそんなことは描かれてなかったけど、この際気になどしていられない。
ミーティア号と同じく、最初の設計図を信じてはいけないのだ。
あたしは瞳を凝らせると大きく息を吐いてから、砲塔の制御に着手した。
射撃はあたしの専門分野。一機たりとも逃すもんですか!!
「レールキャノン、発射!」
ネオ・プラネット号の砲塔が白銀の帯を次々と敵の戦艦目指して放出していった。

が、いつまでたってもネオ・プラネット号のスクリーンは敵を白熱に包む光を写し出さない。
やがて、白銀の光は細くたなびいたまま消滅した。
「…嘘でしょう。」
あたしはキリリと唇を噛んだ。
全弾命中なんて虫のいいことは思っちゃいなかったけど、全弾外されるなんて論外だった。
「実に見事な回避運動ですね。」
「本当にすごいですね。艦長の射撃率は絶対でしょう。それに掠りもしないとは並々ならぬ相手です。」
艦橋スタッフが何やら感嘆の声をあげている。
あのねー、敵に感心してどうするのよ。
この間にも敵との距離は縮まる一方で、もうじき相手の射程距離に入る。
あっちの砲撃をまともに喰らったら、いくらこの船の装甲が厚くたってタダではすまないんだからね。
なんたって、敵の主砲エネルギーは。
「…違うわ。」
その時、ルナの呟きが聞こえた。
「何が違うんだ?」
あたしが聞くより早くエディ・ユーナスが聞き返してる。
さすが、夫婦。じゃなくて、副艦長だけあって行動が早いわ。
ルナが何か気が付いたってことは、解決の糸口が掴めたという事よね。
「敵、攻撃が来ます!」
となると、ふたりが対策を講じるまであたしの為すべき事はひとつ。
「艦の制御、こっちへまわして!各自、ベルト着用。」
それまで沈黙を守っていた目の前の計器類にグリーンランプが次々灯っていく。
やっぱりね。どうりで艦長席に何もないはずだわ。
この一角、砲術補助席にしてはえらく幅をとっていると思ったらこういう仕掛けになってたんだ。
他人に命令して動かすには艦長席の方が視界が広いから便利だけど、ひとりで艦の制御をするにはこの位置がまさにベストショット。
「しんた、レーダー・オン!」
それまで艦長席の横で丸まっていたしんたがふわりと浮かび上がり、あたしの横のレーダー席に陣取った。
おおっと言うどよめきが聞こえたけど、無視よ、無視。
あたしのナビゲーターはしんた以外に務まらないんだから、しんたに頼むしかないでしょ。
しんたが法律のプロだってことは既に周知の事実だから、今更それにナビゲーター能力が加わったところで大勢に影響ないわ。
今はここをどう切り抜けるかの方が重要なんだから。
あたしには艦の安全と乗組員の命を守る義務がある。
それには手段を選んではいられないってことよ。
(正面、来ます。)
あたしはしんたと精神をリンクさせると砲撃と艦の制御に集中した。

ネオ・プラネット号の操縦システムは驚くほどミーティア号に似ていた。
巨大戦艦でありながら単座式の戦闘機並に操舵が軽いのだ。
おかげであたしは艦の制御と砲撃とを同時に難なくこなすことができた。
雨霰とは言わないけどそれなりの敵の集中砲火の中を縫うようにして、とにかく敵との距離を保つ。
こちらの砲撃も当たらないけど、敵の砲撃にだって当たらない。
「すごい回避運動だ。」
「あれだけの砲撃に掠りもしない。」
艦橋スタッフの声が聞こえた。
操縦が荒い分振動も大きいのだけど、それに動揺もせず戦況を見ているというスタッフの神経も並じゃない。
さすがはしんたの選んだスタッフ達。なかなか肝が据わっているようで。
よし、これなら大丈夫。αキャノンの主軸を合わせて・・。
(ブルー、左舷上部にシフト。)
あたしは慌てて艦首を右へまわした。
どういうこと!?
あたしが砲撃するタイミングを図ったように敵も進行方向を変えてくる。
これってあたしの行動を読まれてる?
(そうらしいな。)
いきなりエディ・ユーナスが割って入ってきた。
いくら兄さんでも乙女の精神に割り込みを掛けるとはいい度胸じゃないの。
けれども今は怒ってる場合じゃない。
(そのとおり。)
言葉でなく精神コンタクトを取ってきたという事は、他のスタッフには聞かせられない作戦を立てたわね。
(単刀直入に言おう。ルナに船の制御と砲撃を任せるんだ。)
「なーんですってぇ!?」
素っ頓狂な声をあげたあたしとは対照的にエディ・ユーナスは落ち着き払って顔色一つ変えていない。
(こちらの行動は敵に読まれている。読ませないためには、行動を予測させないのが一番だ。)
だからってルナにあたしの船を任せろだなんて。
あたしには悪夢の始まりともいえるロデール・ダリ事件の記憶が甦っていた。
(行動を読まれている限り、絶対にこちらの攻撃は当たらない。それに脱出路も開けないぞ。)
そりゃそうだけど。
(ネオ・プラネット号の乗組員の体力は無限じゃないんだ。)
敵との遭遇からほぼ12時間、戦闘状態に突入してからは約10時間が経過している。
その間、メインスタッフは不眠不休の臨戦態勢で艦橋に待機していた。
戦闘の膠着状態が確定的になるに連れて疲労の色が濃くなっている。
並以上の体力を誇るあたしだって、永遠にこの緊張状態を保てるものではない。
悔しいけど、エディ・ユーナスの意見は正しい。
あたしはターゲットスコープから右手を離し、操縦桿から身を引いた。
「ルナ、修理先の確保だけはしといてね。」
祈りにも似た呟きがあたしの口から漏れたのだった。

「艦の制御と砲術制御の切り替え終了。」
ルナはひとつひとつ指さし確認しながら切り替えていった。
…あの子の手にあるの、もしかして操作マニュアル?
もうひとつ思い出したわ。
ルナは機器類の調整はできるのに操作音痴だったんだ。
右と左のダイヤル操作を間違えるのは序の口で、安全弁をしたまま砲撃したり、エンジンを暴走させるのもお手の物でした。
機関室の乗組員、退避させなきゃ。
「ルナ、正面!」
言ってる端から、敵の真正面めがけて突進してる!
砲撃したら反動でこっちがやられる!
それはエネルギーバリアじゃなくて弾幕だっ!!
それでも艦橋スタッフの誰もルナに指示を出そうとしていない。
みんな青い顔して席にへばりついてるよ。
…ルナ、あんたそれだけ信頼されてりゃ、乗組員冥利に尽きるでしょ。
しかし、一番驚くべきは、放置状態とも言えるネオ・プラネット号に、敵の攻撃が未だ当たらないってことだ。
攻撃はしてくるんだけど、まるきり明後日の方向で消滅してる。
こちらからの攻撃は、ナシ。
ルナに操縦と攻撃同時にするような器用さを期待してはいけない。

「艦長、敵の走向にばらつきが見られます。」
それほど待たずして、敵の動きに変化が起こり始めた。
(敵の感情にムラが出始めたの?)
(そのようですね。ムラというより混乱してるというべきでしょう。)
原因はやっぱりルナなんだろうな。
右と念じて後ろへ下がるような操縦だもの。
しかもそれが故意じゃなくて、偶然の操作ミスなんだから本人にも予測のしようがないわけで。
あたしはB級スタッフにそれとなく探りを入れてみた。
全員一致で強行突破に賛成。
よし、あとはチャンスを待つだけね。
(ルナ、操縦はいいから砲撃してみて。)
「やってるつもりなんですけど。」
…だからあんたの握ってるのはターゲットスコープじゃなくて、逆噴射レバー。
(くるわ!)
あたしが乗組員に警告を発するのとほぼ同時にネオ・プラネット号に衝撃が走った。
あ、ダグラスが引きつってる。たぶん、補助エンジンのどこかに亀裂が入ったな。
「エンジン切り離します!」
さすがに放っておけなかったらしい。
同時にエディ・ユーナスが操縦桿をめいっぱい引いたのが見えた。
はは・・ネオ・プラネット号、宙返り。無重力空間だから上も下もないけど。
ネオ・プラネット号の運動に付いていけなかった切り離された補助エンジンは、そのまま敵艦隊に向かって実弾化した。
なんたって至近距離だからね。
大型ミサイルよりもうちょっと威力があるはずだから、あの装甲じゃ、まず持ちこたえられないだろう。
「熱遮断スクリーン強化!!」
ついでにメインスクリーンもオフね。
間一髪、真っ暗な宇宙から白熱した振動が伝わってくる。
敵から感じられる感情の渦が急速に縮小していくのがわかった。
「このまま最大スピードで前進!」
航路がこの方向で合ってるかどうかは二の次だ。
ルナが最後に引いたのは、エンジン推進増幅レバーだった。
それだけは、正解。
(戦闘空域から離脱!)
敵が乱れているうちに、とにかく距離を稼ぐのが先決だ。
(とりあえずは成功だな。)
…疲れた。自分で戦う方が絶対楽でいい。

「レーダー反応!!前方の空間に歪みが発生しました!」
まさに泣きっ面に蜂。こんな時に異常現象なんて止めてよね。
報告通り、あたしの目の前には、ぽっかり穴が開いていた。
「え?これって、もしかして。」
そう、宇宙の穴が突然に出現したのだ。
あれだけ探しても見つからなかった宇宙の穴が、今、目の前に開けている。
「記録システム正常に稼働しています。」
さすがはルナ。
戦闘なんてどこ吹く風とばかりに、もうすでに科学者の顔に戻っていた。
操縦系統も砲術制御もとっくにあたしに戻してあるし…。
(ブルー、急がないと追いつかれますよ。)
しんたのレーダーには、距離こそ離したもののまだしっかり敵艦隊が映っていた。
敵に後ろを見せるのは不本意極まりないけれど、こちらの次元では戦えない相手とあっては致し方ない。
そもそもここまで逃げ切れたこと事態、奇跡に近いんだから。
敵の思考レベルはあたしのそれより遙かに上で、あたしが行動に移す前にそれを読みとって行動を起こしていた。
だからこそ予測ができない行動を取るルナに対応できなかったのだ。
その分こちらの作戦も行き当たりばったりだったけど、運の強いことには自信があるのよ、あたし。
「あれ?消えた?」
ネオ・プラネット号が宇宙の穴へ向かって最大速度で進行を開始したのとほぼ時機を同じくしてあの謎の敵艦隊が姿を消した。
機械的にも、そして精神的にも。
あのおぞましい殺意も感じなくなり、宇宙は閑散とした星の輝きのみを残していた。
「戦闘態勢解除。ただし、警戒態勢は継続。」
未知なる敵は去ったけど、今度は未知なる世界がネオ・プラネット号を待っている。

「スペースホール突入、10秒前。」
宇宙の穴は全くの未知なる空間である。
宇宙図は当てにならないというより、絶えず移動する宇宙の穴など載せようがないのだ。
それを探し出し、出口と入口をこの宇宙に繋げることによって跳躍的な距離を邁進していくのが「スペースホール航法」。
まさに行き当たりばったりの出たとこ勝負の航海だ。
運が悪けりゃ、宇宙の穴に飲み込まれて永遠に宇宙を彷徨うことになるかもしれないのだから。
こんな運任せの航海に乗り出す物好きがそうそういるわけがない。
だからこそ、あたしに白羽の矢が立った。
「スペースホール、収縮運動に入ります。」
どうやら次の出現ポイントへ向かって移動を開始しはじめたようね。
ルナは…収縮パターンの計算に入ったようだ。
これで次からは宇宙の穴を探すのは「運」ではなく「科学的根拠のある計算」に基づくことになることが確定したといえる。
「3、2。」
出現パターンを突き詰めていけば、あのルナのことだもの。
宇宙の穴の出現に合わせた航路を開発するなり、もしくは人工的に起こせるようにするに違いない。
「1、スペースホール突入!」
暗黒の世界は闇のベールを取り去り、星の光の中へ姿を現した。
もはやネオ・プラネット号にとって宇宙の穴は未知なる存在ではない。
科学的根拠を持った自然の航路のひとつに過ぎないのだ。
そして予定通り、ネオ・プラネット号は外宇宙へと乗り出していった。


To be continued?