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しんたの育成日記(3)


□月▲日
私は心を入れ替え、ブルーの育成方針を変更した。
彼女の能力値は、これまで私が接してきた人類のなかで、最高レベルに属するものである。
好奇心旺盛で、何事にも積極的に取り組む姿勢は大いに評価されるべきものであり・・・。
そう、問題なのは、その能力が飛び抜けすぎていることにあるのだ。
コントロールされないまま放置された結果が、今の悲劇の元凶といえよう。
なぜ、これほどの能力の持ち主が感知されなかったのか?
理由は簡単である。
ずば抜けすぎて、誰も感知できなかったのだ。
あんなもの、まともに感知したら、普通の能力者ならあっという間に灼け切れてしまう。
ま、一種の防衛本能とでもいうのが働いて、誰もが無意識のうちに避けていたんだな。

それはさておき、やる気を持っている子供には、それなりの対処が必要だ。
漠然とああしろ、こうしろと言っても本人が納得した上でないと行動しない。
普段は本能で行動しているのに、ああ言うところだけは妙に理屈っぽいのだから、困ったものである。
だからといって別に難しいことは何もない。
我々がしているのと変わらず、ごく普通に接してやればいいのだから。
そのためには、まず、目標を決めてやらなくては。
・・・しかし、能力を伸ばすのではなく、押さえなくてはならないのだから・・・うーん。
だが、こういう場合は、深く考えることはない。
「やってはいけないこと」を明確にしてやればいいのだ。
細かく、且つ具体的に、面倒がらずに上限を設定してやって、あとはそれを越えないよう見張っていればいい。

まずは、普段の生活から。
いいですか、ブルー。
話をしようとする相手以外に自分の意志を送り込んではいけません。
移動するときは、面倒がらずに歩幅を取って、地面の上に足をつけて歩くこと。
障害物がないからといって、勝手に転移しては駄目です。
また、感知できるからといって、壁の向こうの物を見てはいけません。
特に、そこに他人がいた場合、プライバシーの侵害で訴えられても抗弁できないですからね。
それから・・・。
ブルー、一度期に覚えれますか?
最初は難しいかもしれませんが、でもね、ブルー。
これは最低限の社会マナーです。
いいですか、ちゃんと、説明したとおり守って下さいよ。

生活目標を設定するしんた
llustration by ゆうえい様