翡翠伝承

緑の光に包まれて
その大樹は、数え切れない緑の恵みに満ちあふれていた。
その木のふもとに、導きのままに無限の生命を輝かせた少女達がいる。
クラインの第2王女ディアーナ・エル・サークリッド。
近衛騎士シルフィス・カストリーズ。
異世界の魔導士メイ・フジワラ。

澄んだ眼差しで未来を見つめている少女達を遠巻きに見守る複数の瞳がある。
宮廷魔導士筆頭シオン・カイナス。
緋色の魔導士キール・セリアン。
そして・・・。

「アイシュ!」
最初に気が付いたのはメイだった。
元気よく駆けてきて、勢いそのままに想い人の胸に飛び込んでくる。
「わぁ〜、危ないじゃないですか。」
けれども、守るべきものへの熱い眼差しは、限りなく優しく穏やかである。
差し延べた指先が触れ合って心が優しさを得た時、愛する想いが溢れ出す。

幼い日、遭えて無駄な人などいないと聞かされて育った。
その無数の出遭いの中で、いつか愛を分かち合える人とめぐり逢えるのだと。

明るい笑い声としなやかな腕が育まれた想いを伝えてくる。
「なに?」
目映いものを見るように目を細めて見つめているアイシュに、メイは不思議そうな視線を返した。
「あなたに逢えて、本当によかったです。」
ふいを喰らって、熱い風がメイに押し寄せてくる。
それ以上の言葉はなかったけれど、緑色のまなざしが息吹き、鮮やかなときめきを記憶に刻んでいった。


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