夏の夜のおくりもの

夏の夜の妖精



(ごらんなさい、これがあなたですよ。)

少女は不思議そうに自分の姿を見つめている。

空色のサラサラの髪。

薄紫の瞳。

(あなたと同じ色をした髪と瞳の持ち主のところへ行くのですよ。)

光の道が少女の前に開けていく。

(さあ、お行きなさい。)

少女の白い翼がゆっくり羽ばたき始める。

(その人間は王宮か神殿の中にいるはずですから、きっとすぐに見つかりますよ。)





「・・・いない。」

少女は半分泣きそうな顔をしていた。

「すぐ見つかるって女神様はおっしゃったのに。」

教えてもらったふたつの場所を、もう幾度往復したことであろうか?

「わぁ、きれい・・・。」

突然、淡い光の輪が少女の前をふわりふわりと通り過ぎていった。

「どこから来たの?」

無意識のままに少女は羽根を羽ばたかせ、光の輪が流れて来た方向へと辿っていった。





そこでは水の音が、子守歌のように静かな調べを奏でていた。

風にのって緑の香りが流れてくる。

少女を導くかのように、淡い光の輪が闇の中にゆらめいている。

「あ〜!みーっつけたっ!」

その瞬間、少女の身体は透明な光となって、地上へと降下していった・・・。





せわしそうに王宮の廊下を走り抜け、セイリオスの執務室へ女官が飛び込んできた。

いつもなら、その不躾な態度に眉をひそめるはずのセイリオスだが、

このときばかりは待ちかねたように席を立って迎え入れた。

「おめでとうございます!」

開口一番の祝辞に、自然と頬が緩んでくる。

「殿下と同じ色の髪と眼をした、とても愛らしい姫君ですわ。」

春のはじめ、王宮からの祝砲を合図に国中の鐘が一斉に鳴り響いた。