新しい朝に
レオニスが目を覚ましたとき、最初に目にしたのは、愛しい少女の寝顔だった。
彼女が横にいて、静かに寝息をたてている。
それだけで、何かしら心が温かくなってくるような気がする。
レオニスはメイの額に乱れる髪をそっと指先でかき上げ、きれいに揃えてやった。
規則正しい小さな寝息を感じながら、そっとその身体を引き寄せると、布の掠れる音に微かな吐息が混じる。
「・・・ん・・・。」
寝返りを打とうとしたのか、黒髪がさらりと流れ、レオニスの鼻をくすぐった。
そのまま腕の中に閉じこめてしまいたい衝動に駆られたが、そうするより先に、メイの腕がゆっくりと伸ばされ、円を描きはじめる。
窓からこぼれてくる朝日にほっそりとしたうなじが照らし出され、メイの瞳が見開かれた。
「・・・うーん・・・隊長さん?」
ぼんやりとした声が、自分の中で意味をなした時、メイはパッチリ目を覚ましたのである。
傍らで見つめている青い瞳から慌てて視線を逸らし、起きあがった。

が、身体を起こしたものの、メイは困惑した表情をレオニスに向けた。
「どうした?」
「・・・なんか、へん。」
「何がへんなんだ?」
しれっとして尋ねたレオニスに、メイはどう答えたものか真剣に考え込んでいる。
「とにかくヘンなの。その・・・。」
形容しがたい感覚にメイの身体はとらわれていた。
言葉を探しているメイをレオニスは楽しそうに見つめている。
「動けないか?」
「そういう訳じゃないけど・・・。」
「なら、そう悩むこともないだろう。」
レオニスは口元をほころばせ、のどの奥で笑いを堪えているらしい。
訝しげな視線を向けたメイをレオニスの腕が捉えた。
レオニスの胸に抱き寄せられた瞬間、メイの記憶が昨夜まで遡っていった。
「もう少し、寝ててもいいぞ。」
耳元に熱い吐息を感じ、メイは慌てて廻されていた腕をすり抜けるようにしてレオニスから離れた。
「起きる。」
メイはよいしょと弾みをつけて、勢い良くベッドから降り立った。
「朝食、作るね。」
苦笑しているレオニスに、にこっと笑ってメイはガウンを羽織った。
冬の朝は冷える。
着替える前に暖を取らなくちゃと、メイが手順を考えていると、レオニスの腕が再びメイの腕を引き寄せた。
「忘れ物だ。」
「え?」
振り仰いだレオニスの瞳は悪戯っぽそうな光を宿している。
「おはよう、奥さん。」
そのままレオニスはメイの額に口づけるとくしゃくしゃと頭をかき混ぜた。
「もーお、子供じゃないってば。」
口をとがらせて抗議するとレオニスはにやりと笑って言った。
「そうだったな。」
真っ赤になったメイのふくれっ面にレオニスの楽しそうな笑い声が被さっていく。
新しい朝が、ふたりの時を刻み始めた。
創作:NARU(99.12.08)
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