バンシーの笛

 もの悲しい笛の音を奏で、その説明を一通り終えた後、イーリスは儚げに微笑んでディアーナに告げた。

「・・・一族以外で、バンシーの音色を聞いたのはあなたが最初ですよ」
「まあ。それは光栄ですわ」
「・・・きっと、そう言ってくれるのも・・・あなたが最後でしょうね」
 その言葉に、ディアーナはしばし思いふけった。

「それは、あれですの?」
 ためらいがちに、ディアーナが言うと、イーリスは先を続けるよう目で促した。
「・・・現品限りとか、最後のひとつとか言って客の購買意欲をそそる売り口上のひとつですの?」
 イーリスは絶句した。

その後、イーリスの姿をクライン王国で見た者はない・・・。


FIN

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