注意事項

本文はシルフィス×レオニスのEDの止め絵をもとに制作されたものです。
この場面のイメージを崩されたくない方は、今すぐお戻り下さい。
それ以外の方は場面をしっかり思い描きつつ、一歩踏み出して下さい(笑)



月夜

 青い月光を浴びて静かにその人は窓辺に佇んでいた。
均整のとれた長身を礼服に包んでいるが、
誰もが一目で軍人であることを看破するだろう鋭く厳しい雰囲気をまとっていた。
「お待たせいたしました」
 シルフィスはその背中に向かって声をかけた。
途端に男を取り巻く空気が和らぐ。
 黒髪をかすかに揺らし、男はゆっくりと振り返った。
「…よく似合っている」
 言葉少なに微笑とともに向けられた賞賛に、シルフィスはほおを染めてうつむいた。
 すっと音もなく武人特有の身のこなしで近づいた人物はシルフィスのおとがいに手をかけ、
顔を上げさせた。
「…顔色がよくないな。体調が悪いのではないか?」
 深青色の瞳が心配そうに覗き込む。
「い、いいえ、そんなことはありません」
 心拍数が一気に跳ね上がるのをシルフィスは感じた。
ほおが熱い。
「無理はするな。今夜は出かけるのはやめておこう」
 もとより夜会など私の好むところではないからなと、微笑みながらマントをはずした。
それは事実である。
だが、シルフィスを気遣っていることも確かだ。
 シルフィスは慌てた。
自身の体調が悪いことなどない。
ましてや、顔色が悪いなどとは、とてもでないが考えられない。
血行ならば常以上に良いであろう。
それなのに、そう見えたのは…。
「あ、あの、隊長」
「……」
 無言の促しに、シルフィスは再びほおが熱くなるのを感じた。
「あの…レオニス」
 消え入りそうに小さな声でその人の名を口にする。
「どうした?」
 優しい声音と瞳にシルフィスはその言葉を飲み込んだ。
 この人と二人きりで過ごせるのならば。
「…お茶を用意しますね」
 全くことなる言葉を口にしてシルフィスは部屋を出た。
廊下の明かりの下でそのほおは桜色に上
気している。シルフィスの口元が知らず知らずのうちにゆるむ。
 月光のせいです。
 それがシルフィスの飲み込んだ言葉だった。
青い月の光のもとでは顔色も良くは見えない。
「隊長って、結構・・・」
 シルフィスは口元を手で押さえながら、お茶をいれるべく台所に向かった。


おわり

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