遠き山に日は落ちて
あかねの怨霊封印はおおむね順調に進んでいた。
しかし、がむしゃらに戦えばよいというものでもなく、時々、藤姫はこれからのことを星見で占う。
星見の占いには丸1日かかるので、この日ばかりは、あかねもヒマになる。
いつもなら話し相手になってくれる藤姫が占いのため手が空かないとなれば一人で過ごすほか仕方ない。
「気晴らしにどこかへ出掛けようかな。」
はあ、と盛大な溜息をひとつ吐くとあかねはゆるゆると回廊を進み屋敷の外に出た。
門を出るか出ないうちにあかねに近づく影があった。
「神子殿。お出かけと伺い、お供するよう申しつかりました。」
「あ、頼久さん。」
相変わらず律儀なことだと、あかねは人知れず肩をすくめた。
「どこか行きたいところがおありでしょうか?」
「別に・・・。どこか、頼久さんのオススメってある?」
反対に尋ねられて頼久の方が当惑した。
神子の供をすることしか考えていなかった頼久には、自分が率先して案内するなど思いもよらなかったのである。
「せっかくだから、いろんなところを見て回りたいの。でも、まだよくわかんないし。」
「そうですね・・・。あまり遠くへ出掛けてはかえってお疲れが出ましょうし、近くでとなると。」
少しの間頼久は考えていたが、やがて「京の都を一望できるところへご案内します。」と歩き始めた。

頼久は見晴らしのよい山へあかねを伴って登っていった。
歩くことには自信のあるあかねだが、今日は少々辛いものがあった。
最初の頃はそれでも遅れることなく歩いていたのだが、やがて影を踏むようになり、ついには背中を見送るようになってしった。
「神子殿、大丈夫ですか?」
いくらもしないうちに、先を歩いていた頼久が引き返してきた。
肩で息をしているあかねを心配そうに覗き込んでいる。
「・・・おなかすいた。」
ぽつり、とあかねが呟いた。
「は?」
頼久が聞き返すまでもなく、あかねのお腹がきゅるると鳴った。
人気のない小道では、いやにその音が響く。
あかねは恥ずかしさで真っ赤になって俯いた。

京の主食は一応、米である。
だが、その調理法ときたら、あかねには、はなはだ馴染めないものであった。
龍神の神子と崇められていても、詰まるところ、左大臣邸に居候の身である。
他に食べる物がないとあっては致し方なく食しているが、正直、強飯はあかねの口に合わなかった。
それ故、食べる量が自然と減ってくる。
けれども運動量とその消費するカロリーは莫大なものがあり、あかねはいつもお腹がすいていた。
「神子殿、もしや朝餉を召し上がらなかったので?」
あかねは力無く首を振った。
「ごはんが食べたい・・・。」
頼久のあたたかい眼差しを見ているうちに、つい、あかねの口から本音が漏れてしまった。
「ごはん?」
初めて耳にする名前に頼久の表情が難しいものへと変わっていった。

ふたりの居る場所から頂上まではあと少しと迫っていた。
京の都が一望できるその場所は、天真のお気に入りの場所でもあり、今日も彼はそこから景色を眺めていた。
頼久の目は目敏く天真の姿を捉えている。
目線を追っていたあかねにも天真の姿が映っている。
「失礼いたします。」
音もなく頼久は再び歩き始めた。
「いいよ、頼久さん。」
あかねは慌てて頼久の袖を引っ張ったが、そのくらいで諦めるような男ではない。
「いえ、神子殿の嘆くお姿をこのままにしておいては、八葉として名折れにございます。」
頼久にしては珍しくあかねに対して反論すると、そのまま天真の方へ向かった。
驚いたのは天真である。
お気に入りの場所でくつろいでいるところへ、鬼気迫る形相で頼久が現れたのだ。
「な、なんだ?」
とっさに身構えた天真に頼久はしごくまじめに問いかけたのである。
「ごはん、とはいかなるものなのでしょうか?」
真剣な眼差しで尋ねられた天真は、それがどうしたんだと訝しげな表情を浮かべた。
「その、神子殿が『ごはん』なるものを食べたがっておいでなのです。」
「はあ?」
思わず拍子抜けした声をあげてから、天真は一呼吸置くとくつくつ笑い出した。
「天真殿?」
「いやー、わりぃ。ったく、ごはんねぇ。んなもん、この時代にあるわけないだろうが。」
ひとしきり笑ったあとで天真は呆れたように言い放った。
茂みの影から出てきたあかねは、「そんなことわかってるもん。」とむくれた。
「ま、そう短絡的に言うなって。」
天真はにやりと不敵な笑いを浮かべて言った。
「協力してやってもいいぜ。俺もここの食事には飽きてきたとこだし。」
「協力?」
あかねは訝しげに首を傾げた。
「ああ。ちょうどこの下は桂川だし。キャンプにはお誂え向きだもんな。」
「キャンプ?」
ご飯とキャンプ、何の関係があるのかとあかねは首を傾げたままだ。
「林間学校でやったろ?野外実習てヤツ。」
「あ・・・飯盒炊さん。」
しかし、学校行事の野外実習は、材料から全て揃った上で行われるものだ。
今のあかね達は、何もない状態からスタートせねばならない。
食料はもとより、調理器具のひとつすらここにはないのだ。
「やっぱり無理よ。」
あかねはすっかり気弱になっていた。
「んなもん、やってみなけりゃわかんないだろ。幸い詩紋はボーイスカウトの経験者だし、あいつならこういうのお手の物のはずだぜ。」
「・・・知らなかった。」
「だから、やってみる価値はあるってことだ。幸い手は多そうだしな。」
どうやら天真は手伝いの数に頼久も加えているらしい。
確かに、京に不案内なあかね達にとって彼の助力は大いに助けになるに違いない。
「さーて。神子殿が空腹でぶっ倒れんうちに、ひと仕事するか。」
「天真くんのいじわる!」
しかし、言った端からきゅるるとお腹が鳴るようでは、やはり様にならないあかねであった。

あかねがヒマなときは、八葉もヒマらしい。
取りあえず詩紋を探しに山を下りたあかね達は、麓の寺社で宮廷出仕組、即ち友雅、鷹通に出くわした。
更にはちょうど橋を通りかかったところで永泉と、更には本来探す予定であった詩紋にも出会えたのである。
折しも退屈していたらしい友雅が一番話しに乗り気であった。
「なかなか得難い経験ができそうではないか。」
友雅にそう言われて、鷹通もあいまいながら頷いた。
永泉は大勢で何かをやるということ事態、はじめてだったから、協力する前に何をしたらいいのかわからないでいるらしい。
「永泉さん、難しいことは考えなくていいよ。できる人ができることをすればいいんだから。」
「そういうものなのですか・・・。」
「ま、御託はあとにして。詩紋、飯盒炊さんするのに必要なものはなんだ?」
「道具と材料だね。ご飯の材料はお米と水。これはわかるよね。」
一同は頷いた。
「ご飯を炊くのに、普通は飯盒を使うけど、そんなものはないよね。」
「当たり前だろ。」
「代わりになるものと言ったら、・・・竹かな。太い竹を節ごとに区切って使うんだ。」
話しながら、詩紋は具体的な大きさを示してみた。
「このくらいの太い竹。」
「随分太いな。よっぽど大事に育てた竹林でもないと、こんなにでかくならないんじゃないか?」
「そうなんだよね。」
そこが問題なのだと詩紋も考えている。
自然が豊かな土地とはいえ、どこにでもあるような代物ではない。
「太い竹、ですか・・・。」
永泉はしばらく何事か考えていたようだが、やがて意を決したようにすっくと立ち上がった。
「兄上にお会いしてきます。」
「永泉殿?」
「内裏の裏庭に、確か天真殿が申されたような見事な竹があったことを思い出したのですよ。神子様の御為とあれば、兄上もお許しくださるでしょう。」
「ああ、そういえば、うっそうとした竹林があったな。」
友雅が相槌を打つと、鷹通もそうでしたね、と頷いた。
「永泉殿お一人では、運ぶのにも大変でしょう。お供致します。」
永泉に頼久が同行を申し出た。
運ぶ前に、竹を切るのも永泉には難しそうである。
刀の鍔に手を掛けている頼久になぜか笑いを誘われたが、それを表に出すようなことは流石にしなかった。
「じゃ、そっちは頼久と任せていいな。」
「はい、お任せください。」
道具の問題はそれでいいとして、肝心な材料がまだである。
詩紋に言われるまでもなく、ご飯といえば材料は米に決まっている。
米は各地の荘園から運び込まれてくる。
「このあたりで一番近い荘園といえば・・・。」
皆の視線が一斉に鷹通に向けられた。
「・・・かしこまりました。では、桂川の河原へお持ちしましょう。」
これで、米と水、及びその調理道具の手配はなんとかなった。
けれどもそれだけではご飯は炊けない。
「残るは、かまどか。」
「あ、それなら、イノリに頼んでみるよ。」
ぽんと手を打って詩紋が言った。
イノリは鍛冶屋で修行中の身であり、火の扱いはお手の物だ。
「でも、用意するのはご飯だけ?僕、おかずも要ると思うけどなあ。」
「それもそうだな。」
にこにこにこ、と詩紋は天真を見上げている。
「天真先輩、魚釣り、得意でしたよね。」
「わかったよ。おかずは魚。これでいいんだろ。」
「まさか、刺身なんて言いませんよね、先輩。醤油がないんだし。」
「う・・・。」
生でなく、醤油もなしに調理して無難に食べるとしたら・・・。
「塩焼きかぁ。」
口に出してから、またまた天真は考え込んだ。
塩は、この時代、内陸ではそれなりに貴重品である。
左大臣邸になら間違いなくあるだろうが、ここまできたからには、できれば自分たちで入手したかった。
八葉の中で、てっとり早く塩が手に入れられそうな人といえば・・・。
「ま、使用方法には多少問題があるが、塩には変わりないよな。」
ぶつぶつと天真は呟いた。
「魚釣りの前についでにヤツのとこへ寄るか。」
あまり気の乗らない風ではあるが、それなりに目処がたったらしい。
あっという間に整っていくキャンプの準備にあかねは目を丸くしていた。
「あの、私も何か手伝おうか?」
「神子様のお手を煩わせるなど、とんでもございません。」
「でも、私だけ、ヒマ・・・。」
一同の視線は友雅に集中している。
「はいはい、ヒマなもの同士、お相手いたしましょう。」
とは言ってもこれからみんなが準備したものを持って再び集まるまでのわずかな間のこと。
「一足先に桂川へ行って、手頃な場所を見繕っておこう。」
あかねは友雅に伴われて一足先に桂川へと向かったのであった。

「なんだか夢をみてるみたい。」
空腹も手伝って、あかねはどこかぼーっとしてる。
ともすれば経たり込みそうなあかねだが、そこは神子のプライドでがんばった。
もう少しすれば、ご飯が食べれる。
それがわかっているだけに待つこと事態には苦痛はなかった。
「よお、来てやったぜ。」
「あ、イノリくん。」
河原への一番乗りは、イノリだった。
「かまどがいるんだって?任しときな。」
自信満々、イノリは友雅にまで手伝わせて石を積み重ねての簡単なかまど作りに取りかかった。
「お、やってるな。」
「・・・。」
「あ、泰明さんも来てくれたの?」
「ほれ、塩。」
天真が一袋の塩をあかねに預けた。
「これで魚の塩焼きもばっちりだぜ。」
「お魚が捕れたら、でしょう?」
くすくす笑ったあかねに天真は「みてろよ。」と上流へと上がり始めた。
「あの、このお塩。もしかして?」
泰明が怨霊退治の時に使っている片塩ではないかとあかねは笑いかけた。
対して泰明はむっとしたままだ。
「・・・このようなことに使うとはな。」
「ご、ごめんなさいっ!」
「別に、構わん。」
相変わらず無表情のまま泰明は言った。
「神事のために使う塩だ。神子のために使ったところで大差ない。」
屁理屈だけは通さないと気が済まないところがいかにも泰明らしかった。
「ありがとう、泰明さん。」
きゅるると鳴ったお腹の音だけは、やはりいただけないとあかねはがっくり膝をついた。

夕闇が迫る頃、頼久と永泉が河原に現れた。
頼久の腕には見事な竹筒が抱えられている。
「神子殿、お待たせいたしました。」
「頼久さん!永泉さんもお疲れさま。」
「すっげー、見事な竹。さすが禁裏だ。」
イノリが頼久の腕に抱えられている竹筒を覗き込んで言った。
「禁裏の竹とはまた思い切ったことをしたものだな。」
泰明に気が付くと永泉はにこやかに頷いた。
「はい、頼久殿の太刀裁きの見事さにはただただ感嘆いたした次第でございます。」
永泉の話しを聞いて、あかねはうーんと考え込んだ。
竹を手に入れるのに見事な太刀裁きとは、いったい禁裏で何があったのだろうか。
いや、なんとなく想像できるのだが、そっぽを向いている頼久になんとなく悪くて、それ以上の追求は遠慮した。
「本当にふたりともありがとう。」
ここは素直に礼を述べた方が無難だと判断した。
「神子殿。遅くなりまして・・・。」
控えめな声と共に鷹通が供の者に台車を引かせて河原に降りてきた。
「あかねちゃーん!」
「あれ、詩紋くん?」
鷹通の背後からひょっこり詩紋が顔を覗かせている。
「どうしたの?鷹通さんと一緒だったっけ?」
首を傾げたあかねに鷹通が苦笑している。
「詩紋殿にはいろいろとご伝授いただいたのですよ。」
あかねが食べたいといったご飯はいわゆる「白米」であるから精米したものでなくてはならない。
そこに気の付いた詩紋はイノリが河原に行ってくれることを確認すると、その足で桂へ向かい、いろいろと鷹通に伝授したというわけである。
「おーい、詩紋、手伝え!」
上流の方から賑やかな水しぶきをさせて天真が水辺を下ってくる。
彼の後方でばしゃばしゃ水音がしているところをみると、どうやら目的は達せられたらしい。
「あ、天真先輩!大漁みたいですね。」
「あったりまえだろ。俺をなんだと思ってるんだ?」
「にわか漁師さん。」
端的に答えたあかねに、天真以外のその場にいた者たちは笑いの渦に包まれた。

京の都が夕餉の支度にかかる頃、桂川の河原桟敷にも美味しそうな匂いがたちこめ始めた。
焼き魚の匂いはさほど珍しいものではないが、ご飯の炊ける匂いというのはこれまでにない香りだった。
「変わった匂いだな。」
「でも、うまそうだぜ。」
「それはいいとして、何に盛るんだ?」
天真がにやにやしながらあかねを振り仰いだ。
「な、なによ。」
嫌な予感があかねに走る。
「塩、余ってるぜ。」
「・・・だから、なによ。」
心なしか先ほどの声よりか細くなっている。
「その顔はわかってるって顔だぜ。」
「・・・くぅ・・・魚の仇を取ったわね。」
最後のぼやきが他の八葉にまで聞こえたかは定かでない。
「あかねちゃーん、ご飯、炊けたよぉ〜。」
詩紋の弾んだ声にあかねも覚悟を決めた。
「いいわよ。見ててご覧なさい。完璧なおむすびを作ってやるんだから!」
「あかね、むすびってのは三角だからな。」
「俵だってあるわよーだっ!」
元気よく言い返すと、あかねは炊けたばかりのご飯目指して水辺へかけって行った。
「神子殿は何をなさるおつもりなのですか?」
「本人がやる気になってるんだ。お手並み拝見といこうぜ。」
手伝おうにも要領がわからないとあっては手の出しようがない。
さっさと高みの見物を決め込んでいる天真に倣って、一同興味深そうにあかねの甲斐甲斐しく動く姿を見つめていた。

魚が程良く焼けた頃、あかねの奮戦も実りがあったらしい。
「どんなもんよ。」
と大きく胸を張るには少々苦しいものがあるが、そこそこに三角形とわかるおむすびが笹の葉の上に所狭しと並べられている。
「よっしゃ、準備完了!冷めないうち食っちまおうぜ。」
ごちそうを前の長話ほど味気ないものはない。
「みなさん、いただきまーす。」
あかねは遠慮なくおむすびを手にとってパク付いた。
「おいしい〜。」
幸せを絵に描いたような顔であかねはご飯をほおばった。
「ご相伴つかまつります。」
頼久が背筋を伸ばして神妙な面もちで一礼した。
それを合図としたかのように大小様々の八本の手がおむすびに伸びる。
「美味でございます。」
「ん、塩加減がイマイチだ・・ってー。」
「女性(にょしょう)の様にやわらかだね。」
「やさしい味わいですね。」
「変われば変わるものだな。」
「神子様、おいしゅうございます。」
「あかねちゃん、やったね。」
「うめーっ!」
はぐはぐ、もぐもぐとしばらくは水の音に混じって美味しい香りだけが流れていく。
ほんのり塩味のふかふかのおむすびと香ばしい焼き魚はあっという間に無くなった。
「ごちそうさまでした。」
お腹いっぱい、幸せ一杯なひとときがあかねを包んでいた。

お皿代わりにしていた笹の葉と魚を刺していた木の枝が、次々に炎の中に消えていく。
「なんだかキャンプをしてるみたいだね。」
燃えさかる炎を見ながら詩紋が懐かしそうに目を細めている。
「するみたい、なんじゃなくて、今やってることがキャンプ以外の何物だってんだ?」
「キャンプといったら、やっぱり最後はキャンプファイヤーよね。」
「きゃんぷ・・・ふぁいあー?」
舌を噛みそうなイリノの発音にあかねは「キャンプファイヤー」ともう一度繰り返した。
「最後に、炎を囲んで・・・みんなで歌うの。」
流石にフォークダンスをするのだとは言えなかった。
「途中の歌はなんだっていいんだけど、最後の曲は決まってるのよ。」
あかねの瞳に炎が揺らめいている。
あかねは深呼吸すると、小声で懐かしいメロディをハミングし始めた。
天真と詩紋以外には初めて耳にする不思議なメロディである。
それでも音楽は万国共通の言語と言われるだけあって、曲に秘められた望郷の思いは伝わったらしい。
繰り返されたメロディに永泉の笛の音が加わった。
澄んだ音色に、あかねがにっこり微笑んだ。
あかねはそれまでのハミングを歌に代えた。
歌い出すと、意外にもすらすらと歌詞がでてくるもので、詩紋の声がそれに加わった。
永泉の笛に合わせたあかねと詩紋の二重唱が、桂川の河原で燃えさかる炎にのって天上へと登っていく。
河原に再び静けさが訪れたとき、最後の火の欠片をイリノが砕いて土に返した。

星のまたたく夜空の河原に京の未来を担う若者が集まっている。
「神子殿?」
だが、あかねから返事は返ってこない。
「・・・天下太平なヤツ・・・。」
天真のぼやきは、新たな波紋を八葉に投げかけるものであった。
誰が眠り込んでしまったあかねを左大臣邸まで運んで帰るのか。
すやすやと気持ちよさそうに眠っているあかねを起こそうという者は誰もいない。
曲の終わりと共にキャンプファイヤーの炎は消えた。
だが、八葉の間には激しい炎が燃え上がっているのであった。

<あとがき>
ゆうえいさんのHPで公開していた「はるかなる時空の中で」の中の1作です。
HP閉鎖に伴い、こちらに再録させていただきました。
ゲーム性はイマイチな「はるかなる時空の中で」ですが、世界観が一番好きなこともあり、これにだけ煩悩が走りました(笑)。
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