チェックメイト−緑の瞳のつむじ風−
日の曜日、光の守護聖ジュリアスの執務室を訪れたアンジェリークは、チェスをしてみないかと誘われた。
アンジェリークにとって、チェスは名前を辛うじて知っている程度で、正直なところ、それがどのようなものか知らなかった。
しかし、そこは持ち前の好奇心が勝り、はい、と頷いてしまった。
あのジュリアスが好むゲームとは、いかなるものなのかという興味もあった。
そしてアンジェリークは思い知らされることとなる。
たかが、ゲーム。されど、ゲーム。

ジュリアスはアンジェリークが全くの初心者であることを承知の上で、手加減しなかった。
「アンジェリーク、それは駄目だ。」
アンジェリークは入門書片手に駒の動かし方を探りながらのプレイだから、間違えることもある。
「あー、ジュリアス様、そこ、待って下さい!」
やっと決まって手を打っても、簡単に負かされてしまう。
「アンジェリーク、待ったはなしだと言ったはずだが。」
結果、ジュリアスの手にアンジェリークのクイーンが渡ることとなる。
「チェックメイト。」
ジュリアスの口から短く唱えられるその言葉を、アンジェリークは何度も耳にした。
力の差がありすぎるのだから仕方がないといえばそれまでなのだが、やはり負けると悔しいアンジェリークである。
「もう一度、お願いします。」
「いいだろう。」
次第にムキになって、ますます子供っぽい反応を示すアンジェリークを、ジュリアスは軽く受け止め、プレイに応じるのであった。
日が落ちるまで、何戦したかわからない。
結果、アンジェリークの全敗でその日は終わった。

「悔しーい!」
アンジェリークはドンっとテーブルを叩いた。
出されたミルクティが溢れんばかりに揺れている。
「あんたね、ジュリアス様に勝つつもりだったの?」
すばやく自分のカップを取り上げながらロザリアは呆れていた。
「それは・・・。」
最初から勝ち目のないゲームだとわかっていた。
しかし、しかしである。
一日中プレイして、あっという間にクイーンを取られてばかりでは、わかってはいてもおもしろくない。
「だって、悔しいんだもん。それに、最後になんておっしゃったと思う?『これで試験の参考になるとよいのだがな』ですって!」
遊んでいても女王試験と結びつけるとは、いかにもジュリアスらしいとロザリアはおかしくなった。
「でも、いい勉強にはなったのではなくて?」
「それは・・・。でも、このままは、やっぱり嫌!。」
「懲りない娘ね。聖地でもジュリアス様と対峙できる方はそう多くはないそうよ。」
一応慰めのつもりで言ったその言葉に、アンジェリークの瞳がキラリと反応した。
「それ、本当?」
「ええ。オスカー様のお話では・・・。」
「オスカー様!?」
アンジェリークの過剰な反応にロザリアは嫌な予感がした。
「そうなんだ。そうよね。」
そのままアンジェリークは自分の世界に突入してしまっている。
「アンジェリーク?」
「うんっ。決ーめた。」
「な、何を?」
そしてロザリアの予感は的中する。
「私、オスカー様に特訓してもらう!」
アンジェリークは元気良く宣言すると、
「明日から忙しくなるわ。じゃ、ロザリア、お休みなさい。」
と、呆然とするロザリアを残して自分の部屋へと戻っていった。

翌日から、炎の守護聖オスカーの受難が始まった。
アンジェリークはその日の育成を素早く終わらせると、オスカーを訪ね、チェスの相手をお願いする。
はじめは軽い気持ちで応じていたオスカーだが、1週間毎日通われると、背筋に冷や汗が流れ出す。
「お、お嬢ちゃん?」
「お願いします、オスカー様。私、ジュリアス様のクイーンを取りたいんです。」
「しかしな、お嬢ちゃん。俺だって、そうそうジュリアス様には勝たせてもらえないんだが・・・。」
一応は断ろうとするのだが、大きな瞳をうるうるさせてお願いされると、オスカーも断りきれなかった。
自分の甘さを呪いつつ、アンジェリークを相手にチェスの駒を動かしはじめるオスカーであった。

ジュリアスはこのところ何時にも増して職務に励んでいた。
もともと守護聖の首座として多忙ではあったのだが、通常なら他の者に回すような事柄も引き受け、常に仕事の中に身を置いていた。
きっかけは、ひとつのうわさ話を耳にしたことからだった。
オスカーがアンジェリークにチェスを教えている、それも毎日。
その頃から、以前は、用事がなくともよく訪れていたアンジェリークが、育成のお願いのある時だけあわただしく訪れ、用事が終わると一目散にオスカーを訪ねていくようになった。
聞くところによると、オスカーは教えるのがうまいらしい。
たまたまオスカーの執務室に立ち寄った時、楽しそうにチェスの駒を動かしているアンジェリークを見て、大きな衝撃を受けた。
自分と対峙している時は、プレイを楽しんでいるような様子は見られなかった。
ゲーム自体がまだよくわかっていなかったこともあるだろうが、それにしても、あの時には見られなかった笑顔で対戦しているのである。
チェスの考え方が女王試験に通じるものがあると言った手前、止めるわけにもいかない。複雑な心境でジュリアスはその場を後にした。

「しかし、何でお嬢ちゃんは、そんなに勝ちたいんだ?」
「え、あの・・・。」
それまでの勢いはどこやらへ、アンジェリークは俯いて口ごもった。
「・・・ジュリアス様は、賢い方が・・・お好きだって。」
消え入りそうな声でアンジェリークはようやくそれだけを口にした。
オスカーの、駒を掴もうとした手が空中で止まった。
「・・・チェスは頭を使うゲームだっておっしゃったから。でも、私、全然お相手できなくて・・・きっと、呆れられてしまったわ。」
それでなくとも、ロザリアに比べ、今ひとつ遅れているアンジェリークである。
だから、ジュリアスから勝ちが取れたら見直してもらえるかもしれない、と考えたのだ。単純と言えばそれまでなのだが、当のアンジェリークは必死なのだから、オスカーとしては、これ以上余計な誤解を招かないためにも策を練る必要がある。
「とにかく、お嬢ちゃんは、ジュリアス様に勝てればいいんだな?」
オスカーは単刀直入に結論を確認の意味で問い返した。
アンジェリークはこっくりした。
しかし、アンジェリークがまともに対戦して勝てる相手ではないことは、オスカーが誰よりよく知っている。
多少は対峙できるようになったとはいえ、あのジュリアスが相手ではクイーンを取るどころか陣中に入ることですら、いまのアンジェリークのレベルでは困難を極めることであろう。
しかもアンジェリークの打つ手は、その性格も反映されてか非常に先読みがしやすいときている。
相手の考えを読むことを教える以前に、そちらを何とかする方が先かもしれない。
「ふーむ。」
はじめたばかりのゲームを前にオスカーの手は止まったままであった。

「オスカー様?」
ふいにオスカーの瞳に、アンジェリークの緑色の大きな瞳が飛び込んできた。
「うわっ!」
くるくる動く緑色の瞳に覗き込まれ、オスカーは思わず駒を落としそうになった。
オスカーの声に一瞬驚いたようだが、アンジェリークはきょんと首をかしげたまま、やはり瞳はオスカーを覗き込んだままである。
アンジェリークにしてみれば、いつもならさっさと駒を動かすオスカーが、あまりにも長い時間駒を持ったままなので、どうしたのかと不振に思ってのことだった。
しかし、対するオスカーは、考え事の最中にいきなり無邪気な愛くるしい瞳が目の前に出現したのだから、心臓に悪いことこの上ない。
こと女性に関しては百戦錬磨の達人と自他共に認められているオスカーだが、目の前にいる緑色の瞳の女王候補と、もうひとりの藍色の瞳の女王候補だけは、特別な存在だった。これ以上ないほど苦手な存在、というのが今のところの心境なのである。
ふたりからお願いされると、例えそれが今回のように自分の首を絞めることになるとわかっていても拒否できない、どうしようもなく甘いオスカーであった。
「オスカー様、どうされたんですか?」
一方のアンジェリークは、オスカーの瞳と手にしたままの駒を交互にその緑色の瞳で追っている。
よくもそんなに動かせるものだと感心するくらい、目まぐるしく瞳に映しだしていた。
「私、なんか変なことしてますか?」
ちょっと心配そうに、上目遣いに聞いてくるその仕草は、子供っぽいのだが、何故か引きつけられる魅力を秘めている。
「・・・あ、いや、その、ちょっとな。」
「えっ?動かし方、間違えてます?」
アンジェリークはあわててチェスの入門書をめくり、先に自分が動かした駒の規則を確認し始めた。
「そうじゃないんだ、お嬢ちゃん。」
アンジェリークの目が再びオスカーに向けられた。
くもりひとつない、真っ直ぐで真摯な、アンジェリークの性質そのものを映し出している緑色の瞳がオスカーの言葉を待っている。
オスカーは、まとまりかけては、言葉にならないそれを、どう伝えたものか考えていた。「今日のオスカー様、変です。」
ようやく言葉にしかけたところを、再びアンジェリークの拗ねた瞳に阻まれ、考えが混乱していく。
「参ったな・・・。」
オスカーらしからぬため息がもたらされた。
オスカーにしてみれば、思わず吐いてしまったため息ではあるが、アンジェリークには別な反応でもって迎えられた。
「降参ですか!?」
きゃん、と嬉しそうな声で、アンジェリークが緑色の瞳をキラキラさせている。
「え?」
それは違う、と喉まで出かけた言葉をオスカーは瞬間的に飲み込んだ。
チャンスなのだ、これは。
「お嬢ちゃん。」
コホンと咳払いし、オスカーはなるべくアンジェリークの瞳を避けて話し始めた。
「チェスの第一歩は、相手の考え方を読むことだ。つまり、いまお嬢ちゃんが、俺に対して仕掛けた事が、そのまま最善の手を打つことに繋がっていく。」
オスカーの話を、アンジェリークはじーっと聞き入っている。
「お嬢ちゃんは、いつも大陸の民の考えをどこで読んでる?チェスだって同じことさ。」
アンジェリークはいつも大陸の大神官と話をするとき、彼と真正面から向き合っていろいろなことを教えてもらっていた。
それがたとえアンジェリークにとって耳の痛いことであっても、決して目を反らせたりしない。
納得ゆくまで、その目を見て話を聞いて、そして次の育成へと繋げているのである。
「だから、わかるだろう。どうしてジュリアス様がチェスを勧められたのか。」
「はい。」
アンジェリークの返事に、ようやく結論が出せたとほっとした瞬間である。
しかし、オスカーの安堵はすぐに破られた。
ジュリアスその人の声が、突然割って入ったのだ。
「返事がないので、入らせてもらった。」
抑揚のない声に、今度こそ、オスカーの手の駒がポロリと落ちた。

「ジュリアス様!」
アンジェリークとオスカーはあわてて席を立ち、不機嫌きまわりない来訪者を迎えた。
オスカーの視線はジュリアスの手にある書類に注がれていた。
明らかに王立研究院からのものとわかる文書の束である。
「なにか、あったのでしょうか?」
「別に、大したことではない。たまたま、目に付いたので一緒に持ってきたまでだ。」
内容はともかく、各守護聖あての報告文書の束を、そのままジュリアスは持ってきているらしい。
普通なら研究院の職員のすることだが、ついでだからもって帰ると、恐縮する職員から半ばもぎ取るような形で聖殿まで抱えてきたのである。
「これが、そなたの分だ。」
ジュリアスの手からいくつかの書類が抜き出され、オスカーの手に渡された。
「あの、まさか、配って回られておられるのですか・・・。」
「他の者の仕事まで、取る気はないのでな。」
「・・・。」
オスカーは冷や汗が流れるのを感じていた。
これは、まずい。
まずいなんてものではない。
しかも、運の悪いことにアンジェリークと対峙している最中の訪問である。
「では、私はこれで失礼する。」
用事は済んだと部屋を出ようとしたジュリアスを、オスカーは慌てて呼び止めた。
「あの、ジュリアス様。」
そして、オスカーは、ジュリアスの手にある残った書類の束をこれまた強引ともいえるかのように取り込んだ。
「これは、自分が配ってきます。」
「オスカー、そなたはいま、アンジェリークと対峙中なのではないか?」
テーブルの上には、はじめたばかりのチェスの駒が広がっている。
そう、だからこそ、オスカーは賭けに出たのだ。
「はじめようとしていたところです。まだ、私は動かしておりません。そこで、失礼ながら、ジュリアス様、お願いできないでしょうか?その、アンジェリークもそれなりに形になってきたことですし、成果をみていただければと。」
口から出任せとはいえ、オスカーは必死である。
アンジェリークは事の成り行きに少し驚いているようだが、元々の目的が、そうであるのだから、否やはない。
問題はジュリアスが頷いてくれるか否か・・・。
固唾をのむオスカーに、アンジェリークの無邪気な声が飛び込んできた。
「オスカー様、教えて頂いた手でジュリアス様に勝てますか?」
それこそオスカーの心臓が悪くなるような事をあっけらかんと言ってくれたのである。
しかし、ジュリアスにしてみれば、聞き捨てならない言葉であった。
「ほう、随分上達したのだな。」
冷たい声とは裏腹に、ジュリアスの身体はテーブルの方に向いている。
どうやら賭けに勝ったらしいと、オスカーは一目算にその場を退去する事にした。
「それでは、これはお預かりします。」
返事を待たずして、書類を抱えたオスカーは、自分の執務室から一目散に出ていった。

部屋の主が慌ただしく出ていったのを、アンジェリークはポカンとして見送っていた。
「もう、オスカー様ったら。」
変なの、とは心の中だけで付け足し、改めてジュリアスと向き合った。
「あの、本当にお願いしてもよろしいのでしょうか?」
おずおずとジュリアスの表情を伺うように緑色の瞳が問いかけてくる。
手には駒がそのまま握られていた。
「ああ、よかろう。」
無表情でジュリアスはテーブルに着いた。
卓上の駒は、オスカーの言ったとおり、最初の一手を打つ前のままであった。
ジュリアスは、オスカーが取り落とした駒をつまみ上げると、最初の位置にもどした。
「それでは、お願いします。」
にこにこっと笑顔でアンジェリークが挨拶し、ゲームが開始された。

はじめて対峙したときのまま、アンジェリークの手は実にわかりやすい位置に駒を動かしていく。
その素直すぎる手にジュリアスは思わず微笑んでいた。
が、いざ自分が駒を動かそうと打つ手を考えようとした瞬間・・・。
「ア、アンジェリーク!」
興味深そうに、何かを探るかのような生き生きした緑色の瞳が、ジュリアスの瞳を覗き込んできた。
くるくると瞳を動かして、アンジェリークはジュリアスとその手の駒を追っている。
正面から真っ直ぐにジュリアスと向き合い、くったくのない笑顔でジュリアスが動くのを待っているのである。
アンジェリークに見つめられて、ジュリアスは心の中でひどく狼狽していた。
努めて無表情を装っているが、まるで金縛りにあったかのように顔の筋肉一筋動かせないでいる。
間近で見るアンジェリークは何時にも増して愛らしい。
手を伸ばせばすぐ届く位置に彼女はちょこんと座ってジュリアスだけを見ているのだ。
ジュリアスはありったけの理性を総動員して、アンジェリークを抱きしめたい衝動を押さえつけ、チェス盤に視線を移した。
しかしそれは一瞬のことで、すぐにアンジェリークの瞳に取って代わられる。
なんのことはない。
アンジェリークはジュリアスの視線を追って、ひたすらその先に自分を持ってくるよう姿勢を変えているにすぎないのだが、動揺していつもの冷静さを欠いてしまったジュリアスには、結果としてひたむきなアンジェリークと正面から対峙することになったのだ。
それでもジュリアスのすごいところは、無意識にでも駒を動かしているところである。
「・・・本当にそこでいいのですか?」
ときたまアンジェリークが何か尋ねてくるようだが、答えようとすれば、彼女の瞳に真正面から見つめられ、それこそ考えがまとまらない。
チェスを挟んでジュリアスとアンジェリークの見つめあいが続いていく。

ついにジュリアスは根をあげた。
もちろんそれはチェスに対してではないのだが、アンジェリークにはわからない。
「アンジェリーク、その。」
「あの、ジュリアスさま、そこでいいですか?」
何かと歯切れの悪いジュリアスにいぶかしりながらも、アンジェリークは何度目かの駒の確認をしたところだった。
「ああ・・・。」
やはりジュリアスは上の空で返事をした。
「本当に?」
キラキラした瞳が念を押しながら問い返してくる。
ジュリアスは頷くことでようやく視線を交わせ、ほっと一息いれた瞬間、はじめてチェス盤の様子がはっきりと目に映し出された。
「なっ、これは!」
それで一気に我に返った。
「ジュリアス様、チェックメイトです!」
アンジェリークの嬉しさに弾んだ声が耳に飛び込んでくるのと同時であった。
「あ、アンジェリーク・・・。」
呆然とするジュリアスに、アンジェリークは満面の笑みでジュリアスのクイーンをつまみ上げた。
「うふっ。ジュリアス様のクイーンです。」
うれしくてたまらない様子でクイーンの駒を両手に取り込んで見つめている。

「ありがとうございました、ジュリアス様。」
興奮さめやらぬまま、軽やかにアンジェリークは席を立ちジュリアスの横に来た。
いや、来ようとしたのだが、足を踏み出した先にジュリアスの長いローブの裾があり、見事に踏みつけ、前につんのめってしまった。
「きゃっ。」
「アンジェリーク!」
ふわりと腕が伸ばされ、アンジェリークは引き寄せられたかと思うと、ジュリアスの腕の中にすっぽりと抱き留められていた。
恥ずかしさのあまり耳の先まで真っ赤にして、それまでジュリアスが外そうとしても常に追ってきていた緑の瞳も俯いたままである。
緊張のあまりアンジェリークのからだが自然と強張ってくるのに気が付いたジュリアスは、穏やかな笑みでアンジェリークの顔を覗き込んだ。
蒼い瞳に見つめられ、今度はアンジェリークがその視線からあわてて目を反らした。
「お前からは目が離せぬ。最近、無意識のうちにお前のことを考えている自分に気が付いて、驚くことがある。こんなことは今まで一度もなかったことだ。」
アンジェリークはジュリアスの胸に顔を埋めたまま、淡々と語る彼の声を耳にしていた。「お前の存在が日を追うごとに大きくなっているのだ。この私の中で・・・。」
そして、もう一度ジュリアスはアンジェリークを支え直すと、あらためて彼女と視線を合わせた。
今度はアンジェリークも俯かず、真っ直ぐ見つめ返してくる。
「お前には人を引きつける何かがある。それは、もしかしたら女王のサクリアと言うものなのかもしれぬ。だが、私は・・・、私の心は、お前を求めている。」
「わたしはジュリアス様に認めていただきたくて、お側に居たくて、それで・・・。」
アンジェリークの手にはジュリアスのクイーンの駒が握られたままになっていた。
「お前は十分がんばっている。いつも一生懸命なお前を、私は愛している。」
ジュリアスの手がアンジェリークの手に重なった。
「チェックメイト。」
ジュリアスの腕の中には彼だけのクイーンが微笑んでいた。
<あとがき>
ゆうえいさんのHPで公開していた「アンジェ創作」の中の1作です。HP改装に伴いメインコンテンツ以外の守護聖様の創作を撤去されたので、こちらに再録させていただきました。
アンジェに振り回されるオスカー様、というテーマで書いた作品ですが、なぜかジュリ・アンになってしまったという(笑)というか、私の頭の中には、「オスカー様にはロザリア」がインプットされてるからオス・アンが書けなかったんですね(^^;
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