青海国の魔術師

青海国の王女

 砂の上を蟹が走って行く。
 打ち寄せる波の音以外何も聞こえない。
 青海国の姫君はその名のとおり、打ち上げられた漂着物のごとく砂浜に転がっていた。
 彼女の名前、リーシャルは古い言葉で「海神の贈り物」という。それはまた、波に運ばれて来た漂着物も意味した。
 ごろりとリーシャルは反転して仰向けになった。
 眩しい太陽の日差しのお陰で、海水に濡れた髪も服もすでに乾き始めている。
 やはり、海はいい。
 ごうつく張りのじじぃどもの相手に疲れたら、海で泳ぐのが一番だ。
 厭なことは奇麗さっぱり波が洗い流してくれる。
 リーシャルは昨年から「家業」を手伝うようになっていた。外交に励みつつ、今は西大陸で商人相手に取り引きを行っているところなのだ。
 砂を踏む音が近づいてきたが、面倒なのでリーシャルは目を開けようとはしなかった。
 迎えに来られても、まだ帰りたくない。
「シャル王女」
 この声は隊長だ。青海国の海上警備隊長。まだ海軍と名乗るほどの組織はできていないので、とりあえずの肩書きではあるのだが。
「世のため人のためになるもうけ話があるんだが、一口乗らないか」
 がばっとリーシャルは勢いよく起きあがった。
 隊長が持ってくる話は楽しいものが多い。それを楽しいと思うかどうかは人によって大いに意見が分かれるところだが。
「なに?」
 黒髪の女騎士はなんとも凶悪そうな笑みを浮かべた。一児の母であるのだが、慈愛などというものとは無縁である。
「奴隷商人の摘発」
「奴隷商人って、どっかの国が後ろ盾についてて、しっぽをつかませないって言ってた、あれ?」
 青海国の国王夫妻の努力で大陸間交易は復活しつつあるが、それとともによからぬ連中も暗躍するようになった。近頃では、西大陸で髪や瞳の淡い色の見目良い人間を集め、南大陸で売りさばくという奴隷商人が巷を騒がせているのである。大陸間の中継地である青海国の港は船の出入りを厳しく管理しているのだが、その奴隷商人達は網に引っかからなかった。密輸に携わる連中がよくやるように、西大陸からの船と南大陸からの船を使い、「商品」を乗せていない南大陸の船をまず青海国に寄港させて水や食糧を補給し、その後、沖合いで西大陸の船から「商品」を移し、南大陸へ向かっているのだろうと考えられていた。
「そう、あれだ。その黒幕をつきとめ、組織をぶっ潰すために、ヴェルサとナイニークが手を結んだ。それに協力してみないか?」
 ヴェルサもナイニークも大陸北部の国である。「被害」が大きいのだろう。
「協力は惜しまないけど。私が役に立てるの?」
 それなりに護身術は身につけたが、武人に対抗できるほどの腕はリーシャルには無い。しかし、女騎士は深々と頷いた。
「もちろん」
「そんじゃ、やってみようかな」
 世のため人のため、そして自分の懐のためになるのなら、やらないわけにはいかない。
 そして、青海国の姫君は「売り飛ばされる」こととなった。


 黙ってさえいれば、それなりに美少女。
 そう周囲の人間に言われるものの、リーシャル自身は自分の顔立ちをさほどのものとは思っていない。
 そりゃあ、確かにこの髪と目の色は南大陸で珍重されるとは聞くけどさ。
 銀髪青眼は青海国ではありふれた色であっても、他の国では少ない。南大陸では皆無に等しい。しかし、それでも、今、自分の周りにいる少女達の方がずっと綺麗な顔をしている。
 リーシャルの乗せられた船には厳選された「商品」が集められているらしく、周りにいるのは顔立ちの整った少女だらけであった。そして、とりわけ目を引いたのが、明らかに良家の娘と思われる身なりの少女だった。今は薄汚れているが、繊細なレースをふんだんにあしらい、南大陸産の軽い布によって仕立てられた服は、そこらの商人の娘が身につけるものではない。おまけにその衣服だけでなく、容姿もまた際立っていた。まっすぐな淡い金髪に夢見るような藤色の瞳。人形のように整った、だが人形のような冷たさのない端正な顔立ち。さらに、透き通るような白い肌にすんなりと伸びた手足。リーシャルの第一印象は「私が十人くらい買えそうな子」であった。
 どうして、そんな良家の娘がこんなところにいるのか、気になって仕方ないリーシャルであるのだが、なにせ今はしゃべることができない。わざわざ魔術師に喋れないように術をかけてもらっているからだ。口を開けばおしまいと言われるリーシャルが喋ることができたら、誰も彼女のことを親兄弟のために身を売った、いたいけな少女とは思わないだろう。
 うーん、親に売り飛ばされたってのはないだろうし、港でさらわれた口かな。これだけの美少女なら、多少の危険を冒してでも獲得したいと思っても不思議じゃないし。
 リーシャルの視線に気づいてか、少女は顔を上げた。目が合うと、哀しげな微笑を浮かべた。その憂いの表情がまた様になる。
 ああ、そう言えば、憂いを帯びた表情っていうのも男心をそそるもんだとか船長さんが言ってたよね。でも、隊長がそんな表情するとは思えないから、いまいち信憑性に欠けるんだけど。
 思わず見とれつつ、リーシャルはそんなことを考えていた。無意識のうちに首にかけた細い紐を引っ張っていて、それに気づくと慌てて手を放した。この紐は魔術師の「目印」であり、それによって、現在、魔術師を乗せた「連合海軍」の船がこの船を追って来ているのだ。そしてまた、この紐をひきちぎったら、リーシャルにかけられた術がとけることになっていた。
 あーあ、いつになったら、拿捕するのかなぁ。
 狭い船倉に閉じ込められていることに、すでに飽き始めているリーシャルだった。


 波が変わった。
 どこか島の近くにでも来たのだろうかと考えていると、衝撃が船に走り、壁に軽く頭をぶつけたリーシャルは思わず悪態をついた。とはいえ、声は出ない。
 どうやら船がぶつかったというより、接舷したらしい。しばらくすると何やら騒ぎが聞こえて来た。
「勝手なことをされては困りますぜ、旦那」
「それ相応の対価は支払うと言っている」
「しかし」
「どうせ買い叩いてきたのだろうが。飽きたらまた売ってやる。誰のおかげで、安心して商売をしていられると思っているのだ」
 近づいてくる尊大な調子の高い男の声にリーシャルは聞き覚えがあった。それが誰だか思い出すより前に、いやな感情がわき起こる。二度と思い出したくないと、意識的に記憶を封じたような類の人間だ。
 扉が開き、若い男が入って来た。金髪を丁寧に巻き毛にし、胸元を白いレースで飾った派手な赤と黒の服を身にまとっている。西大陸西部で流行している型ではあるが、リーシャルには悪趣味としか思えない。つけすぎた香水の匂いも気になる。
 リーシャルは一気に記憶を蘇らせた。
 大陸西北部にあるドゥレンジャ王国の貴族で、王位を目当てに、昨年、まだ十三歳のリーシャルに言い寄った男である。外交のためと必死にリーシャルは耐えたが、何度、奥歯をかみ締めたことか。青海国内でのことだったら、確実に張り倒していただろう。
 嫌なものを見てしまったと、とっさにリーシャルはうつむき、視線をそらした。
 ……あれ? こいつがいるってことは、黒幕はドゥレンジャ王国ってこと?
 ドゥレンジャは経済力という点でいくとぱっとしない国だ。奴隷を売って儲けようと考えてもおかしくはない。それにドゥレンジャ国内にも「淡い色」の持ち主が多い。
 最低、とリーシャルは心の中で吐き捨てた。
「ほう、これはなかなか……」
 リーシャルがそっと視線を上げて様子をうかがうと、悪趣味男はあの「リーシャル十人分相当」の美少女のあごをつかんで顔を上げさせていた。
「勘弁してくださいよ、旦那。それは今回の目玉商品なんでさ」
 奴隷商人とおぼしき男が手をもみながら言うが、尊大な貴族にきく耳があるはずもなかった。
「ふん、どこぞからさらってきたのであろうが。南の蛮人のものになる前に、私がかわいがってやる」
 好色な笑みを浮かべた男の顔にリーシャルは鳥肌を立てた。かわいそうなことに、目をつけられた少女は今にも卒倒しそうな程、顔から血の気が引いている。
「来い」
 男が乱暴に少女の腕をつかんで引っ張っる。少女が抵抗すると男はその頬をひっぱたいた。
 ……もう、駄目。
 ぶちりとリーシャルは首にかけた皮紐を引き千切り、その先にぶら下がっている石を握り締めた。
「ふざけるなっ」
 その一喝に男がリーシャルを見た。いぶかしげに目を細める。見覚えがあると思っているのかもしれないが、そんなことはどうでもいい。
「この、どすけべ」
 声とともにリーシャルはつかんだ石を男の顔に向かって投げつけた。男がそれに気を取られた隙に、一気に間合いを詰めるとリーシャルは思い切り良く男の股間を蹴り上げた。子孫を残す権利のない男に遠慮することは無い、と護身術の師匠からリーシャルは言い聞かされており、その教えを忠実に守ったのだ。
「て、てめぇ」
 悶絶する男の代わりに奴隷商人がリーシャルにつかみかかろうとしたが、リーシャルは素早くその手を避けた。その直後、先ほどとは比べ物にならないほどの強い衝撃に船が大揺れに揺れ、リーシャルも奴隷商人も共に転んだ。
「大丈夫ですか」
 リーシャルに声をかけたのは、例の美少女だった。
「大丈夫っ」
 いち早く跳ね起きたリーシャルは起き上がろうとする奴隷商人の首に思い切りよくひじを振り落とした。それから、まだ苦しんでいる男の腰から剣を奪い取ると、その柄で後頭部を殴りつけ、楽にしてやった。ほっと一息ついたリーシャルの耳に信じられぬ言葉が飛び込んで来る。
「海賊だっ」
 ……海賊? 証人として、こいつらは生かしておかないといけないんだよね。
 面倒くさいとぐしゃぐしゃとリーシャルは髪をかき回した。
「リウ、聞こえてるよね? とりあえず、入り口は守るから、すぐに対処して」
 南大陸共通語で魔術師に呼びかけるとリーシャルは船倉の入り口の戸を閉めた。何かで塞ごうにも何もないので仕方なくリーシャルは奴隷商人の足を引きずって行き、戸の前にその体を転がした。
「あの、貴方は」
 振り返ると金髪美少女がリーシャルに不思議そうな目を向けていた。次第に近づく物音にも脅えていないところを見ると、実は結構性根が座っているのかもしれない。
「んー、一応、奴隷商人取締りに一役買ってる人間ってとこかな」
 足音に耳を澄ませながらリーシャルは答えた。
「えっ、それでは」
 少女の声はもはやリーシャルの耳には入らなかった。数歩後ろに下がって、剣を構える。乱暴に戸が開かれ、入って来た男が奴隷商人の体につまづいたところで、リーシャルは男に襲いかかった。
「やめてくださいっ」
 少女の声が響く。
 振り下ろされた刃を片手に握った短刀で受け止めた男とリーシャルの目が合った。
 どこか見覚えがある顔だとは思ったが、会ったことはない。こんな熊のような男、一度見たら忘れないだろう。
「ウォルイ様、剣を引いてください。こちらも奴隷商人の摘発に乗り込んでこられたようですから」
 少女がしっかりと落ち着いた声で告げた。
「あなたも、剣を引いてください。その人は……そうは見えないかもしれませんが、北方諸島連合海軍司令官です」
 北方諸島連合と聞いてリーシャルは眉を上げた。青海国と同じく海賊が先祖という国だ。ただ、こちらは建国されたのがほんの五十年前で、海の傭兵と呼ばれる武装船団が商船の護衛や沿岸の警備にあたり主要な収入を得ている。今も海賊と呼ばれるほど荒っぽい連中が多いのだ。
 剣をひいてリーシャルはまじまじと目の前にいる男を見上げた。赤毛の大男は狭い船倉に窮屈そうに立っている。リーシャルは眉を寄せた。やはり見覚えがある。
「ひょっとして、ウィラル大叔母様の息子だったりする?」
 祖父の年の離れた妹の名をリーシャルが口にすると男は眉を上げた。西大陸で取り引きをするにあたってリーシャルは三代前まで遡って親族の名前を覚えこんだのだ。
「ひょっとしなくても青海国の王女か? ごうつくばりのジジイども相手に一歩も引かず値切り倒すとかいう」
「貧乏なんだから仕方ないでしょ!」
 反射的に言い返したリーシャルに、男はげらげら笑ってリーシャルの肩を大きな手でたたいた。
「そうか、そうか。青海国のリーシャル王女か。まさかこんなところで会うとはな。俺はウォルイ、間違いなくお前の父親の従弟だ」
 やはりそうだったかとリーシャルは頷いた。髪の色は違っても顔立ちが父と似ていたし、北方諸島連合に嫁いだ祖父の妹のことはよく聞いていたのだ。なんでも父の子守りもよくしていたらしい。
「……青海国の姫君ですか?」
 金髪少女の驚きの声に、男は少女を振り返った。
「そうらしいぞ。リーナ、無事だったか」
「その呼び方は止めてくださいと何度も言ってるじゃないですか」
 顔を赤くして少女が抗議する。
「今のお前にはぴったりだと思うが」
「ひょっとしてそっちもその子を囮に使ったの?」
 二人を交互に見ながらリーシャルは尋ねた。
「ん? ああ、そうだ。うちには適役の娘がいなかったんでな」
「いくらなんでも女の子を囮に使うのはどうかと思うけど。うちみたいに魔術師がついてるってわけじゃないでしょ」
 青海国にこの話が来たのも、魔術師がいるからこそである。話を持ちかけた側もよもや王女が囮になるとは思わなかったらしいが。
「ああ、安心しろ、こいつは男だ」
 なんでもないことのようにウォルイは言い、リーシャルはぽかんと口をあけた。
「嘘でしょーっ!」
「いや、ほんと。本名、リナス・エバント。これで結構、腕が立つんだ」
 まじまじとリーシャルが見ると、「金髪美少女」は顔を赤くした。どこからどう見ても少女である。
「北方人って、ごつい男ばかりだって思ってたんだけど」
「なぁに、こいつもいずれはでかくなる」
 ……この顔でごつくなるのは、それはそれでいやかも。
 なにしろ父親の従弟はリーシャルが熊と呼んでいる船長よりも体格がいいのだ。
 うめき声にリーシャルはようやく「それ」の存在を思い出し、足元に目を落とした。
「これ、ドゥレンジャの貴族なんだけど」
 足の先で男をつつきながら、リーシャルは教えた。
「知り合いか?」
「面識があるって程度。私に求婚したことあるから、身元に間違いはないと思うよ」
「ほー。見かけに寄らず勇気がある男だな」
 どういう意味だ。
 リーシャルが睨むと、ウォルイはげらげら笑った。
「シャル王女」
 不意に声が届いたかと思うと、空気がゆれて魔術師が姿を現した。
「あ、リウ、来たんだ」
「はい。船は近くに待機させてあります」
 言ってリウ・ソイレスはウォルイに向かって会釈した。
「海賊じゃないって、すぐ分かったの?」
「ええ、『接点』をつけてありますから、シャル王女が見聞きされたものは全部伝わります」
 リウの説明に魔術ってのは便利だなとウォルイが感心している。
「それじゃ、ドゥレンジャが黒幕だってのも分かった?」
「ええ。どうやって脅してやろうかと早速、話し合ってますよ」
「おい、もちろん、俺達も仲間に加えてもらえるんだろうな?」
 獲物をかっさらわれては大変とばかりにウォルイが口を挟んだ。
「それは私の方からはなんとも。ですが、北方諸島連合を敵に回すつもりはないと思います」
 北方の海において覇権を握っているのは北方諸島連合海軍だ。いかなる船も、北方諸島連合海軍の海竜船から逃れることはできないのだから当然だろう。
「よし、それじゃあ、とりあえずこの船の連中を残らず縛り上げるかな」
 そう言うとウォルイはドゥレンジャ貴族を抱え、少女、否、少年に奴隷商人を運ぶように命じ、先に船倉を出て行った。金髪少年はこれまたたいした苦労もなく自分より大きな奴隷商人の体を担ぎ上げてその後を追った。
「……なんか凄い光景だよね」
 怪力美少女という言葉がリーシャルの脳裏に浮かぶ。リナスという少年はどこからどう見たって男には見えないのだ。それが人間一人を担いでいくのである。
「今では見慣れてしまってどうということもないですけど、隊長達が男達を斬り倒していくのも凄い光景ではありますよ」
 リウが隊長とその元部下達を例に挙げ、それもそうだとリーシャルは頷いた。確かに、実質的に女性である彼女達の方が、見かけ美少女よりも、凄いことをやっているのだ。
 まあ、ある意味、あれが男というのも凄いことだけど。
 しゃくりを上げる声が聞こえ、ようやくリーシャルは他の「商品」達の存在を思い出した。そこで、脅えと期待の入り混じった顔の少女達にリーシャルは説明を開始したのであった。


 なんか腑に落ちない。
 砂浜で寝転がりながらリーシャルは考えていた。
 今回の奴隷商人の摘発により、四国は協力してドゥレンジャ王国を脅しつけ、金をせしめることに成功した。迷惑料と口止め料である。
 リーシャルはドゥレンジャ王国に今回の奴隷商に関わった人間の身柄引渡しを要求したのだが、受け入れられなかった。その連中を売られた人々と同じ目に遭わせてやろうと思ったのだが、義母に反対されたのである。彼らと同じことをしてはならないと諭されたのだ。勿論、それとは別に関係者は処罰された。しかし、罪を免れた者も少なくはないのだ。それがリーシャルには歯がゆかった。
 青海国の王妃は南大陸のルシアド帝国に手を回し、奴隷として売られた人々を買い戻すことができるように手配しているが、あまり期待はできない。それを考えると、罪を免れた者がいることが、どうしても許せないのだ。
 ごろごろと何かの動物のようにリーシャルが砂の上を転がっていると、足音が近づいてきた。
「シャル王女」
 前回と同じく隊長の声だった。ふてくさったまま返事をしないでいると靴の先でわき腹をつつかれた。
「ちょっと遊びに行かないか、ドゥレンジャまで。リウ・ソイレスも一緒だぞ」
 むくりとリーシャルは起き上がった。
「行く」
 遊びの内容は女騎士の表情を見れば明らかだった。魔術師が一緒ともなれば、その契約主たる義母の意志も働いているに違いない。隊長と魔術師が一緒で、おまけに義母の後ろ盾があるとなれば怖いものは無い。
「親交を深めるためにウォルイ達も誘ってみようか?」
 これから西大陸で商売をしていくには、親族の協力があったほうがいい。
「よい考えだ。彼らならドゥレンジャ王国内の情報にも通じているだろうからな」
 女騎士の同意を得てリーシャルは早速、行動に移った。
 そして、案の定、北方諸島連合海軍司令官は青海国の姫君の誘いを喜んで受けたのだった。

 それからしばらく後、ドゥレンジャ王国では貴族の数名が姿を消したり、不慮の事故に遭ったりしたという。北方諸島連合と青海国の親交が大いに深まったことは言うまでもない。

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