女王と騎士

第二部 北風と太陽-虜囚編- (10)

 少年は祭壇の前に跪いていた。彼の前に祀られているのは死を司る冥府の女神である。他の神像と違い、冥府の女神の顔は仮面に覆われて見えない。この女神の顔は人により見え方が違うのだという。善人の目にはこの上もなく美しい姿に映り、悪人の目には凄まじく恐ろしい姿に映ると言われている。
 果たしてこの女神は自分の前にどのような姿で現れるのだろうか。
 それは死ぬ時までわからないだろう。
 少年はゆっくりと立ち上がった。

 その日、イェナは非番だった。女騎士は久しぶりに自室でくつろぎ、つい先刻まで女王付き女官の少女とお茶を飲みながら話をしていた。話題は女王の婚礼衣装についてである。王家の伝統的装束にいかに捻りを加えるかということで彼女達は大いに盛り上がった。見栄えという点では申し分のない素材が揃っているのだから、一世一代の腕の奮いどころだと衣装係でもある少女は張り切っていた。彼女自身の結婚問題はどうなのかイェナは探りを入れてみたのだが、こちらの方はさっぱりで、そんな話を振られたことにも気付かずに、少女は元気良く仕事場に戻って行った。
「…ルーダルも気が長いこと」
 ぽつりとイェナは言葉を漏らした。少女に対する彼の態度は他の誰に対するものとも違う。それは誰の目にも明らかで、彼と多少なりと親しい人間は皆知っている。だが、恐ろしいことに、当の少女ただ一人がその特別扱いの理由に気付いていない。口の悪い者なら健康美だけが取りえと形容する平凡な容姿の少女は自身の美的感覚が優れているがゆえに、自分が恋愛対象になるはずがないと思い込んでいるような節がある。生き生きとした働き者の少女は多くの若者に好感を得ているのだが、ルーダルの存在がそれを恋心にまで発展するのを抑えていると言っても良い。
「まあ、ルーダルは外見に反して中身は男らしいから心配いらないでしょうけど…」
 むしろ、恋愛問題で不安なのは女王の方だ。
「…猪ですものねぇ」
 と、ひとりごちる。
 あれだけ勢い良く突進されて、大丈夫な男かどうか。見た目通りに線の細い男ならば、あっけなく粉砕されてしまうことだろう。
 イェナはまだクルス・アディンという人間を信用していない。信用するほど知ってもいない。イェナは対人関係において用心深かった。表向きは誰にでも打ち解け易いように見えるが、その実、距離を置いている。それは人間不信だった子供時代の名残とも言えた。だが、用心することと信じないことは違う。
 女王や隊長が見込んだ通りの人間ならば良いのだけどと考えていると、扉が遠慮がちにたたかれた。イェナは立ち上がって扉に向かった。
 訪問者はおとなしそうな印象の少年だった。イェナもよく知っている、息子の一番の友人だ。
 女騎士は少し驚いて、少年に問いかけた。
「どうしたの?」
「フィルと話をしてくれませんか?」
 真剣な面持ちでユリクは言った。
「多分、僕では力になってやれないので」
 イェナはとりあえず、息子の友人に椅子をすすめ、座らせた。失礼しますと断ってから少年は腰を下ろした。物腰が穏やかなのは神殿育ちだからだろうかと考えて、イェナは首を振った。同じ神殿育ちでも穏やかとは程遠い人物に心当たりがあったのだ。
「先日、僕達は人を殺しました」
 そのことかとイェナは軽く頷いた。騎士となる以上、避けては通れぬ道だ。
「それが騎士見習いとして取るべき行動だったとフィルも頭ではわかっているはずです。でも、自分と折り合いをつけれないでいる」
「どうして、あなたでは力になれないの?」
 僕は、と少年は小さく苦笑をもらした。
「彼のように迷いを覚えないんです」
 イェナはゆっくり瞬きした。
「僕達は他の命を奪わずには生きられない。罪を重ねて生きていく。そして、皆いずれは神々の前で等しく裁かれる」
 淡々と静かな口調で語る少年は不思議と聖像めいて見えた。神殿の奥で祈祷者を見下ろす神々の像ではなく街角で人々の営みを穏やかに見守る精霊の像だ。
「だから、自分を裁くのは、その時でいいと思っているんです」
 少年の空色の瞳は澄んでいた。そこに迷いはない。罪悪感を覚えないのではなく、自分の罪を受け止めているのだ。
「…ユリク、あの子も答えは自分でみつけなくてはならないわ。…あの子の力になるという点では、私よりもあなたの方が適任よ。何もしなくていいから、そばにいてあげて」
 騎士ではなく母親としてイェナは息子の友人に頼んだ。
 息子には、ただ時間が必要なのだろう。時折、じれったく思えた夫の性格を確かに息子は受け継いでいる。
 しばらく黙っていた少年はわかりましたと静かに言って立ち上がった。迷いを断てるのは本人だけだと心のどこかで分かっていたのに、そんな友人を見ているのがつらくて、何かせずにはいられずにいられなかったのだと理解したようだった。
 随分、大人びている。何故か、イェナにはそれが不憫に思えた。
 少年は戸口で振り返ると言った。
「…イェナ様、僕が言ったことはフィルには内緒にしておいてくださいね」
 少年らしい言葉にイェナはほほ笑んで頷いた。


 南陽王国の王都の西側は夜でも明るい。光と闇が混じり合い、夢と現が混在する。なかでも、その場所は楽園のようだと男達に言われていた。
 空間を満たすのは幻のような光、心地よい楽の音、各地から集められた美酒。
 しかし、何よりも男達を酔わせるのは洗練された美しい女達だった。
 彼女達は花嬢と呼ばれる。もとは西方で使われていたその呼び名がこの南陽王国に入って来たのはそう昔のことではない。音楽や舞踊等の芸事を身につけた娼妓のみが、そう呼ばれるのだ。
 そこは南陽王国一の高級娼館だった。
 これを王宮のようだと形容する人間がいるが、王宮の暮らしより遥かに贅沢、と王宮をよく知る人間は言うだろう。女王は国を挙げてのお祭り騒ぎには熱心だが、贅沢な暮らしには興味を持たないために、室内装飾も熱を入れているのはせいぜい謁見の間と広間、そして他国の大使達の寝泊りする部屋くらいのものだ。外面さえ保っていればいいんだ、とは女王の言葉である。
 酔客の一人が中庭をよぎる人影に気付く。淡い月光に照らされたつややかな黒髪に真珠の肌、遠目にも際立った美貌の持主は酔った彼の目に夜の女神の使いのように映った。酌をする女をつかまえ、是非とも女神の使いをこの席にお呼びしたいものだと言うと、女は上品に手を口元にあて、ころころと笑い声を立てた。
「あの方は女神の使いは女神の使いであらせられても、冥府の女神の使いとも呼ばれている方でしてよ」
「死の乙女があのように麗しいのであれば、死ぬのも悪くない…」
 幸福そうな顔でつぶやいた男は眠りの谷に落ちて行った。女はいたずらめいた表情で小さく笑った。もし、明日、男が今夜の出来事を覚えていれば、顔面蒼白になることだろう。この王都に暮らす限り、「氷刃のルーダル」の名を知らないはずがないのだから。

 夜風とともに部屋に入って来た人影を認め、女は微笑した。癖のない黒髪をゆるりと結った女の年は三十を過ぎていようが、清雅な印象が彼女を若く見せていた。手招きして、近くの椅子に座らせる。
 向かい合った二人の間に濃い血縁関係があることは誰が見ても明らかだった。
「また何かあったのかい?」
 外見には不釣合いなまでに快活な声で尋ねる。
「いえ、特には。とりあえず、先日の侵入者達は片付いたということを報告に来ただけです」
「あたしにまで、そんな言葉使いされると、くすぐったくってしょうがないよ」
「そう言われましても、これも陛下の御命令ですから」
 お願いだから、その顔でそんな言葉は使うなと女王に言われたので、普段は苦労して身につけた丁寧な言葉使いで通している。下層で育ったルーダルの本来の言葉使いはとてもでないが王宮にふさわしいものではない。しかし、オルトはそのふさわしくない言葉使いでも女王に許されている。容姿差別だとルーダルは思うのだが、顔が気に食わないというだけで罷免された廷臣よりはましだろう。もっとも罷免の本当の理由は他にあったのだが、それは表沙汰にするには微妙な問題だったので、女王の我がままという形で押し通されたのだ。世間で言われているように、本当に顔の良しあしだけで登用が決まるのなら、王宮で働く人間のうち半数以上が罷免されておるわというのが女王の主張だった。
「まあ、いいけどね。あたしだって、商売の時は口調を変えるしね。…おまえ、またちょっと背が伸びたんじゃないかい?」
「そうならいいんですが」
 顔がこうなのだから、せめて身長くらいは人並みでありたい。女王の求婚相手もやや中性的な容貌をしているが、性別を間違われることがないのは、その長身のお陰でもあるだろう。
「それにしても物騒な世の中になったもんだよ。猩瑪の連中は、何て言ったかい、あの暁王国の将軍が紅砂王国を占領するのも時間の問題だとかで、次は自分達の国だとか縮み上がっているし、西は西で輝珠王国がぐらついているから、傘下の公国が独立しようと動いているって言うしね」
「…紅砂王国は国力のある国ですから早々併合されたりはしません。せめて、後十年は必要でしょう」
 あの暁王国の将軍のような並外れた騎士がもう一人くらいいれば話は別だが。西は近いうちに動くだろう。国力を蓄えた諸公国を束ね続けるだけの力はもはや輝珠王家に残されていない。
「そう言えば、フィーリィが言ってたけど、昨日もお偉いさん連中が来て難しい顔して話していたらしいよ」
 フィーリィとは、高級料理店の女将だった。時折、客の求めに応じて花嬢を呼ぶこともあり、女将同士親しくしている。昔、同じ店で働いていたからだというのが表向きの理由だが、実際のところは、どちらも店の出資者が同じ人間だというつながりがあった。
「名前は分かりますか?」
「一応、念のためにフィーリィが書いておいてくれたよ。名前は伏せていたけど、間違いないって。昔、客にとったことがあるんだそうだよ」
 薄い紙片を受け取ってルーダルは軽く頷いた。南陽王国の廷臣はこの高級娼館の女将がルーダルの母親だと知っているので、女王に知られたくない話をする時は決してこの場所を使わない。しかし、高位にある者が出掛けても不自然でない場所は限られている。そうした場所には、ぬかり無く情報網が張り巡らされているのだが、それを知る者はほとんどいない。全体を把握しているのは、一人か二人だけだ。
「まったく、女王様も大変だねぇ」
 内でも外でも問題ばかりでと嘆息する。
 大変なのは女王よりも腹心達だろうとルーダルは思ったのだが黙っていた。誰が苦労しようと、それが自分でないのならば誰であっても同じことだ。
 彼らが内憂外患の事態を避けるために、今のうちに徹底した虫退治をする腹積もりでいることをルーダルは知っていたが、それだけだった。自分は与えられた仕事を確実にこなすだけだ。複雑な腹芸大会に参稼する才能がないことをルーダルは自覚していた。


 よく喋る男だ。
 アシュリーズは無表情に前の席でべらべらとしゃべるやたら愛想のよい男を見据えていた。地方の大貴族の息子だと言う若者は如才がなく、頭も切れる様子だが、どうも気に食わない。女王本人なら、多少、耳を傾けたやもしれぬ政治的な批評をアシュリーズは聞き流していた。お茶の入った器を眺めて、ふと考える。
 今度、しゃべれなくなる薬の調合をシィンに頼んでみようか。二度としゃべれないようにするのは簡単だが、それではあまりに乱暴すぎる。ラーナも喜ぶことだろう。
 女王は地方貴族との謁見は実りがある時もあるが、ただの見合いだったりすると最悪だとこぼしていた。おそらく、この謁見も見合いだろう。実際に女王代理の権限を持つとはいえ、必要最低限にしかその権利を使わないで済むように配慮しているし、まだ病み上がりで体調が優れぬことを理由に、可能な限り公式行事は避けている。
「北に向かわれた方々が御心配ですか?」
 ふっと顔を上げ、アシュリーズは相手の青い目を見返した。
「…全く心配ではないと言えば嘘になるが、心配するだけ無駄であろう」
 女王は双子の妹は隠し事が苦手だと思っているが、この認識には少々、誤りがある。アシュリーズは必要とあらば、ウェイ同様に完全に心のうちを隠す術を備えているのだ。女王の前で感情を隠さぬのはそれだけ気を許しているということなのだが、それを女王が知っているかどうか。
「まことにそう思われますか?王妹殿下の身には何も起こらぬと?」
 …この男。
 アシュリーズは何を言うのかという目で見据えながら、素早く事前に説明された男の「背景」を思い返した。もしやという疑念がちらりと頭をかすめる。
「まるで何か起こりそうなことを知っていそうな口振りだな」
「存じておりますと申し上げたらいかがなさいます?」
「聞き出すまでのこと」
 くっと男は喉の奥で笑った。
「起こりませんよ、『王妹殿下』の身には何も、ね」
「含みのある言い方よな。率直に申せ」
 男ははぐらかすように茶を口に運んだ。アシュリーズは待った。そう易々とこちらから攻撃をしかけてやるつもりはない。長い沈黙の後、ようやく口を開いた。
「思ったよりも、思慮深い方なのですね」
 あからさまな挑発。だが、すでに戦闘態勢に入ったアシュリーズには無意味だ。男はゆっくりと室内に視線を巡らした。
「陛下が王宮で絹をまとい、大勢の人間に傅かれて何不自由なく暮らしていた間、王妹殿下はどこの誰とも知らぬ騎士のもとで危険と隣り合わせの生活を送っていらした。同じ貴い血を分けた双子の姉妹だというのに不公平だと思いませんか?」
 わずかたりと表情を動かさぬアシュリーズに同意を求めるように男は青い目を向けた。琥珀の瞳の奥に何を男が見いだしたのかは知らない。そのまま言葉を続けた。
「このまま『王妹殿下』が戻らねば、すべてが貴方のものになる。絹も宝石も、貴族達の忠誠も貴方の思いのままになる」
 熱っぽくささやきかける男を遮り、冷たくアシュリーズは言い放った。
「おぬしの言うことは分からぬな」
「とぼけるのはおやめ下さい。王妹アシュリーズ様。私は全て知っているのですよ」
 それこそ、聞きたかった言葉だった。アシュリーズは微かに唇の端をつり上げた。その時、アシュリーズは双子の姉そっくりの、人の悪い、完全に事態を面白がっている笑みを浮かべていた。
「…誰にかは知らぬが、そなた、騙されておるぞ」
 馬鹿なことを男は一笑した。
「誤魔化そうとしても無駄ですよ。私は全て知っているのですから」
 ふむとアシュリーズは頷いてみせた。
「なかなか巧いやり口よな。本物とも知らずに女王の面前で反逆の言葉を喋らせるとは。それほど、そなたを恨んでいるとあればファヴァト行政長官あたりか」
 男の顔色がわずかに変わった。
「ファヴァト行政長官は確かセーティルとは従兄弟同士」
 重臣の一人の名を口にする。
「あのタヌキ、二心を持つ者を始末するには良い機会だと、そなたを唆したのであろうな。なかなか見事な腕前だ」
 もはや男は蒼白になっていた。怒りのあまりに拳がふるえている。
 アシュリーズは呼び鈴を鳴らした。すぐに衝立の向こうから顔を出した侍女に扉の前にいる近衛騎士を呼ばせる。今の話を聞いていただろうに、その古参の侍女は落ち着き払っていた。
「この男を牢にぶちこんでおけ。後からヴェルシュが吐かせるだろう」
 女顔の近衛騎士は軽く頷いて、男の腕をつかみ出ていった。
 ふうと一息つくとアシュリーズはがんっとテーブルに拳を打ち付けた。本気だったら、テーブルが壊れただろうことは間違いない。
「…出て来たらどうだ?」
 低い押さえた声には剣呑な響きが宿っていた。
「タヌキをいぶり出すのに使ったな?」
「だから、ばれると言っただろう?」
 侍女達がいるはずの衝立の向こうから男の声が届く。
「君は完全に気配を消せると言ったはずだが?」
「私が気配を消したところで、君の気配を消せるわけではない。アシュリーズ様は気配でも男か女か区別がつくのだぞ」
「それを先に言え」
 幼なじみの青年と見かけたことのあるひょろりとした青年が衝立を回って姿を現す。
「古狸予備軍がお揃いで見物か」
 その呼称にヴェルシュが嫌そうな顔をしたが知ったことではない。
「罠をしかけるなら先に言ってくれ。永久に黙らせるところだったぞ」
 不機嫌さを隠そうともせずアシュリーズは言った。脅しでもなんでもない、本音である。実際に、女王への反逆を示す言葉を口にした時点で、その者を処罰する権限がアシュリーズには与えられている。
「それを止めるためにヴェルシュもそこにいたんだろうがな」
 いなければ、仕掛けに気づいていても、殺していたかもしれない。
「アシュリーズ様が聡明でいらして嬉しいですよ」
 どうやら全て思い通りに運んだらしい。
 にこやかに言ってのけるヴェルシュをアシュリーズは睨み付けた。
「本体はどう始末するのだ?」
「しませんよ。まだ彼には使い道がありますから。しっぽの方から情報を引き出せるだけ引き出して、じっくり攻めますよ。この男はそういう長期戦が得意ですからね」
 痩せ気味の男にちらりと目を向けて言う。
「君ほど陰険な策は使えないがな」
 ふんっとアシュリーズは鼻を鳴らした。互いにそう思い合っていることだろう。アシュリーズは立ち上がり、女王の抜擢によって異例の出世を遂げた男の前に立った。
「私を試すのは構わないがな、もともと気は短い方だ。次からは生かしておきたい人間を餌に使うな」
 男は細い目を軽く見開いた。アシュリーズはくるっと踵を返すと部屋の外に向かった。遠巻きに見ていた侍女が慌てて従う。
「…なかなかどうして。あれなら十分、女王がつとまるな」
 王妹に王位を望む意志があるかどうか試した青年は薄く笑った。
「それを本人の前で言うな。八つ裂きにされるぞ」
 ヴェルシュは王妹が王位を望んでいないのは無論のこと、贅沢な暮らしにも価値を認めていないことを知っている。彼女にとって大切なのは国ではない。自分の仲間だ。自分たちの都合で王をすげ替えようなどという勝手な家臣団の動きを認めるや否や、その鋭い牙で噛み裂くことだろう。彼女は仲間を守るために血を流すことを厭わない。
「まさか」
「冗談を言っているわけじゃない。王宮ではまだ大人しくしているが、たたき上げの戦士だ。為政者じゃない。扱い方を間違えば、あの世で後悔するはめになるぞ」
「分かった。今度からはそのつもりで扱う」
 どうだかなとヴェルシュは皮肉と疑いのまじった視線を同類に向けた。