女王と騎士

第二部 北風と太陽-虜囚編- (11)

 氷晶王国の王都の南側には貴族の屋敷が立ち並んでいる。王都に屋敷を構えることができるのは一部の特権的な身分を持つ貴族だけであり、これらの屋敷は地位と財産の象徴であった。身分の高い貴族の所有する屋敷を訪問するには、前もって訪問の伺いを立てるのが常識であり、身分が高くなればなるほど、訪問の許可が下りるのはまれである。しかし、その日の朝、そうした手続きをすっぱり無視する招かれざる客がある屋敷に現れたのだった。
「暁王国の将軍の肩書はなかなかの威力を持つもんだな」
 まるで他人事のような顔でデュリルは言うと椅子に腰を下ろした。
「肩書よりも、おっさんの馬鹿でかい図体と態度がもの言ったんじゃないの?」
 片方の眉を上げエセルが言う。彼女は髪を赤茶に染め、暁王国のアルク・デュリル・ゼノファの従者に扮装していた。
「あの手の輩には、はったりが効くんだ」
 にやにやと思い出し笑いを浮かべながらデュリルが応じた。
 約束もなしに早朝から屋敷に現れた客を追い返そうとした家令に向かって、彼はずいと大剣を差し出し、本物かどうか確かめてみろと普通の人間には持つことも一苦労のそれを手に押し付けたのだ。柄に彫り込まれた紋様は暁王国の王家の者のみが帯びることのできるものであり、大貴族の家令というものは、国の内外を問わずに、そうした紋章に精通していなければならない。それを受け取った家令は余りの重さによろめき、蒼ざめていた。彼らが屋敷内に通されたのは、家令が言い分を信じたからというより、命の危険を感じたからだろう。剣はそのまま預けてある。
「疑っていても、会わないことはないだろう。牽制の意味も兼ねて、私が君と親しくなったことは言いふらしておいたから」
 エセルと同じように髪を染めた青年は言ってちらりと友人を見遣った。
「できるだけ、長引かせてくれ。少々、時間がかかりそうだ」
「いたぶるのは好きじゃないが、まあ、暇潰しにはなるか」
 あまり気にいらない仕事らしく、つまらなそうにデュリルはふんだんに装飾の施された室内を見回した。
「よくここまで、ごちゃごちゃと魔法を使ったもんだな」
 魔法力のないエセルには分からないが、屋敷中に魔法が張り巡らされているらしい。この国では、それが普通なのだと言う。
「使い過ぎだ。複雑にするから、かえって、小手先技で封じれる」
 遠聴、透視といった様子を伺う魔法に対して、遮断の術を施した青年は皮肉な笑みを浮かべた。ふうんとデュリルはあごを撫でた。
「よほど、嫌いなんだな。お前がそんな顔をするとは」
「彼に好意を持つ理由はない」
 そっけなく言い放つ。これまで嫌悪感を抱くほどの接触はなかったが、今は違う。
「なんなら、今、この場で始末してやろうか?」
 親切心からの言葉ではなく、単に退屈な会見をしたくないと思っての言葉だ。冗談めかしているが、半分以上は本気であることをエセルもクルスも知っていた。迂闊に同意を示そうものなら、すぐに実行に移すに違いない。
「それは困る。何のために我慢してきたと思っているんだ?」
 殺そうと思えばいつでも殺せた青年は眉をひそめた。ただ殺してしまっては罪が明らかにならない。デュリルはにやにやと笑った。
「感心なことだな。俺なら、猿芝居に付き合うどころか、さっさと始末して、南陽王国に引き返したぞ」
「それだと陛下に迷惑がかかるだろう?表向きは異母兄弟なんだし、幾ら向こうから手を出したとはいえ、殺してしまえば非難されるのは私だ。幾ら何でも犯罪者を庇護下に入れるのは、対外的にもまずいだろう」
 邪魔する奴は馬に蹴られて冥府に落ちろと息巻いている女王が「体裁」と「感情」を秤にかけた場合、どちらに傾くかエセルには分かっていたが、黙っていた。どちらにせよ、クルス・アディンという人物はやるとなれば徹底的にやらないと気が済まない人間なのだろう。飽きっぽい女王とはいい組み合わせかもしれない。
 扉をたたき、先程の家令が顔を出した。少しは顔色が良くなっている。
「主がお会いになります。どうぞこちらへ。御付きの方々はこのままでお待ち下さい」
 デュリルは二人に向かって軽く頷いて、部屋を出て行った。
「さてと、私も行ってくるか。まさか、こんな盗っ人みたいな真似をすることになるとは思いもよらなかったが」
 窓を開けながらクルスは言った。
「窓から出入りすることに慣れておいたら、陛下から逃げる時に便利だと思いますよ」
 本気だったのだが、クルスは冗談に受け取ったらしく、軽く笑うと窓をくぐって出て行った。それを見送るエセルの脳裏にもう一人の青年の姿が浮かんだ。
 そう言えば、オルト殿、どこにいるんだろ?
 女王の声が聞こえた途端に窓から逃亡を図る近衛騎士の青年を思い出し、エセルは首を傾げた。
 いつものことと言えば、いつものことだが、今は任務中であり、面倒みのいい青年が半人前の騎士見習いを放ったらかしにしているのも妙だ。「戦神」が一緒にいるから、安心しているとも考えられるが…。
 今回のことが片付いてからも姿を現さなければ、一応、探してみるか。最悪でも、遺品くらいは見つかるだろうなどとエセルは実にあっさりと考えていた。

 その頃、アルク・デュリルは屋敷の主と向かい合っていた。
 四十をようやく越えたばかりと思われる男は傲慢な態度でデュリルを見据えていた。いくら暁王国の後継者に有力視されているとはいえ、「血筋」に劣る人間を対等に扱うつもりはないとでも言いたげだ。銀髪青眼という容姿はどことなく「異母弟」とも似ているのだが、与える印象は全く異なる。少なくとも彼の友人は人を見下す態度を取らない。
「暁王国の将軍殿が私に何か御用ですかな?」
「俺の素性を信じていただけたとは驚きだ」
 にやりと笑うと男は神経質そうに眉を動かした。あからさまに不快の意を表しているのだが、アルク・デュリルが取り合うはずもない。
「あのような御立派な剣を帯びることができる方など、そうそういらっしゃらないでしょうからな」
「なかなかの業物だろう?」
 剣の価値を分かってもらって嬉しいとばかりに鷹揚な様子で応じて見せる。
 こほんとわざとらしく男は咳ばらいした。
「ああ、そうそう、用件だったな。多分、俺がこの国に来た理由は察しておられるのだろう?」
 口元に笑みを浮かべたまま、デュリルは言った。
 急に鋭い瞳を向けられ、男は内心、ぎょっとしたようだった。動揺を隠すように目をそらし、わずかに頷く。
「恐らくは、亡き弟の慰霊にいらしたのではないかと」
「あいにく、俺は死人には興味ない」
 途端に用心深い目付きになった男を見据えたまま、デュリルは続けた。
「ただ、妙な噂を耳にしてな」
「妙な噂、とは?」
「それは、貴公の方がよく知っているのではないかな」
 相手の反応を楽しむように、デュリルはゆっくりと言った。
 こんなおやじ相手に言葉遊びしても面白くもなんともないんだがな。
 そんなことを暁王国の将軍が考えているとは露知らず、氷晶王国の王弟は内心の焦りを隠して、必死で対応策を練っていた。

 どうやら会見は楽しいものではなかったようだ。
 異国からの客を玄関先まで送って来た屋敷の主は外に出ずに、さっさと引き返していった。一方、そんな非礼を気にも留めず、せいせいしたとばかりの表情で預けていた大剣を受け取った客は馬に颯爽とまたがった。不思議と大柄であることを感じさせない軽やかな動作である。炎を思わす朱金の髪の男は邪魔したなと声をかけ、馬に軽く合図をくれた。すぐ後に従者の二人が静かに主に続く。これでもかと言わんばかりに圧倒的な存在感を持つ主とは正反対に影が薄い。もう二度と来るなと思いながら家令は彼らに向かい深々とお辞儀した。


 むっすりと黙りこんでいる青年の後ろで神官はおどおどと彼と彼に向き合っている女達とを見比べていた。氷晶王国では聖職者が世俗の役職を兼ねることは珍しくなく、彼もまた、この王弟フェルサーレン・ティズ・フィアットに側近として仕えているらしい。中庭では人目につくということで、神殿内の客室を借りて急遽、「歓談」の場を設けたのは、この気弱そうな線の細い神官である。なかなか手際が良く、見た目によらず使える人間のようだ。また、どことなく目の前にいる青年の末弟と似たものを感じさせた。
「要するに、私の正体を黙ってさえいれば、何ら危害は加えぬということだ」
「あ、あの、危害を加えるとおっしゃいましても、この方は王族であらせられますし、国家間の問題になりますが?」
 気弱そうに見えて、なかなか気丈なところがあるあたりが似ている、と思わせるのだろうかとトーヴァは黙ったまま観察を続けた。
 ふんと女王が鼻を鳴らす。
「誰が生命に危害を及ぼすと申した」
「…と、おっしゃいますと?」
 おそるおそると言った様子で聞き返す。
「そうさな、例えば、ここにいる女神官に王弟君が押し倒されたなどという噂が立てば、王弟君の名誉に傷がつこう?なにせ、トーヴァは騎士能力をもつゆえ、騎士能力を持たぬ男の一人や二人、手籠めにするのはわけもないことだ」
 もはや若い神官は蒼白になっていた。
 ふーっと、黙って聞いていた青年が長々と息を吐いた。ぼそっとつぶやいた言葉は北方語で女王には理解できなかったのだが、トーヴァは笑って頷き、同意を示した。
 王弟は「あいつの好みは理解の範疇を越えている」と言ったのである。
 怪訝そうな顔の女王を尻目にトーヴァは北方語で話しかけた。
「どうやら、弟君から『色々と』話を伺っておいでのようですね」
 態度から、女王本人だと見抜く事ができるほどに。それならば、話は早い。少なくとも女王が権力づくで彼の弟をものにしようとしているわけではないと知っているはずだ。
「ああ。…まあ、あいつはあれで順応力があるからな」
 ちらと鋭い青紫の目を向ける。
「この様子だと、顔だけ気に入られて婿入りした揚げ句、捨てられるなんて事態にはならないで済むようだと少し安心した」
 トーヴァはぶっと噴き出した。この男、どうも本気でそんな心配をしていたらしい。弟思いの兄としては、そう危惧するのも仕方ないことだ。なにせ南陽王国の女王といえば、大陸で現在ただ一人の女性君主であることもあり、なにかと噂に上る人物なのだ。しかも、その噂とくれば、圧倒的に「醜聞」に分類されるものが多い。
「なんなのだ、トーヴァ、さっきから」
 不服そうに女王が文句をつける。
「殿下がなかなか楽しい意見の持主でいらっしゃるもので。陛下の御命令がなくとも、押し倒してみたくなるかもしれません」
 南方語で言ったのだが、若い神官には通じたらしく、目を見開いてひきつっていた。しかしながら、当然と言うべきか、主人に通訳する気はないようだ。
「ほう?ならば、任せた。邪魔はせぬから、存分に口説くがいい」
 女神官は王弟に向き直った。
「弟君ならば、こちらの陛下をうまく制御して下さるだろうと我々臣下一同、期待しておりまして、それゆえ、こうして陛下御自身が国を離れることを認めたのです」
「認めさせた、ではないのか?」
 トーヴァは薄く笑ってそれには答えなかった。


 神殿の奥部、王家の廟と聖堂の間に神官長の部屋はある。そこには神官長の許しがなければ、例え王族であっても入ることはできない。魔法士としても並々ならぬ力量を持つ神官長自ら防御魔法を施しているためだ。
 なんとなく落ち着きのない神殿に三人の侵入者があった。最も防御が厚いと思われがちな正面から堂々と彼らは一般の参拝客のふりをして入り込んでいた。魔法士の多い国では、人影のない所こそ、最も危険な場所なのだ。
「ああ、これはちょうどいい。神官長殿が道を開いていらっしゃる」
 奥殿に目を向けながら青年がつぶやいた。魔力を持たぬ者には見えないものが、彼の目には映っているのだ。
「その爺さん、いきなり、『死人』に出て来られて心臓は大丈夫なのか?」
 半ば本気でデュリルが問うた。
 神官長はこのところ体調が優れぬということで、奥に引きこもっているという。神官見習いとして神殿に潜入していたエセルが神官長を目にしたも大掛かりな儀式の時だけだった。
「心臓は丈夫な方だ」
 恩師を爺さん呼ばわりする友人にクルスは苦笑を返した。自国の王すら、あの爺さんと呼び、そして、自身がおっさんと呼ばれても気にしないような男だ。いちいち目くじら立てていては限がない。
 ふと、少女が何やら気掛かりそうな顔をしていることに気付いた。
「どうかしたのか?」
「ちょっと…妙な気配がして。でも、悪いもんじゃないから、大丈夫です」
 やたらと勘の鋭い少女は軽く肩を竦めた。予知能力というほどではないが、少女の勘はよく当たる。その彼女が悪いものではないというから、大丈夫なのだろう。
 三人は気配を消して、神殿の奥へと歩を進めた。

 扉に施された術を解いて、いきなり部屋に入って来た侵入者を前に動じる事なく老人は読んでいた書物を閉じて誰かと穏やかに問うた。いつお迎えが来てもおかしくないような浮世ばなれした爺さんだというのがエセルの抱いた第一印象であり、クルスが年取ったらこうなるんじゃなかろうかというのがアルク・デュリルの抱いた第一印象であった。
「私です」
 青年はフードを取り去った。老人の目が驚愕に見張られる。
「生きておいでになりましたか」
 教え子に歩み寄ると、か細い老人ははらはらと涙をこぼした。髪の色を変えたくらいで、教え子を見誤ることはなかったようだ。爺さんなのに目がいいんだなと妙なところでデュリルが感心している。
「御心配をおかけいたしました」
 青年が神妙な顔で老人の手を取り、ひざまづいて額に当てる。神官が高位の神官に対する挨拶だ。クルス・アディンの神官位がどれほどのものかは知らないが、相手は神官長なのだから当然のことだろう。
 涙にむせぶ老人を前にしてエセルは一種の感動を覚えていた。
 これほど善良な神官長というものが存在するとは今の今まで知らなかった。彼女のなかで神官長というものは、世俗にどっぷり浸かり、顔を使い分けて信者から巧みにお布施をせびり取る老獪な古狸であると認識されていた。殺しても死なない、図太く逞しい人間でなければ神官長の地位に上り詰めることは出来ないと思っていたのだが、誤りだったようだ。自分の認識が一般的でないことを、聖職者に対して幻想を持たぬ神殿育ちのエセルは自覚していなかった。
 老神官長の気分が落ち着いたところで、クルスは簡潔に事情を説明した。彼らによって助けられたのだと言うと、老人は二人に向かって深々と頭を下げた。
「礼には及ばん。俺は俺のしたいことをしただけだからな」
「私は女王陛下の命に従っただけでございます」
 クルス・アディンは飽くまで猫かぶりを続けるつもりらしい。助けられたと言うが、実際には助けなど必要としていなかったのだから。
 そんな事を思いながら、二人はそれぞれに応じた。
「それで、神官長様、フェルサーレン異母兄上と連絡を取って頂きたいのですが」
「おお、それならば、好都合なことに、今、神殿にいらっしゃっております」
 すぐにお呼びしましょうと老人はテーブルの上にのった薄青の珠に手をかざした。ふっと光が灯ったそれに向かって、人に話しかけるように用件を告げる。興味津々の顔をしているエセルに気付いて、クルスが道具を媒介とする高等魔法の一種だと説明した。言葉をそのまま伝える魔道具だという。送り手には魔力が必要だが受け手には魔力は必要ないもので、神殿間の通信手段でもあるそうだ。発明したのは、この神官長だという。興味を引かれたのはデュリルも同様らしく、更に専門的な質問を重ねていた。忘れてしまいがちだが、アルク・デュリルは魔法士として通用する魔力を持ち、それなりに魔法の知識も備えているのだ。神官長は彼らのやり取りをにこにこと笑顔で見守っているが、エセルは無邪気に聞いていることはできなかった。
 神官長もクルス・アディンも聖職者だが、アルク・デュリルは違う。戦士であり、軍隊を率いる将軍である。彼ならば、この通信手段に別の用途を見いだすだろう。彼に限らず、戦をする人間ならば、誰でも。
 一応、白狸のじじいの耳にも入れておくかなとエセルは故国の神官長を思い浮かべていた。

 神殿内においては、神官長は絶対的な存在だ。例え、他国の王妹と歓談中であっても、呼び出されたとあっては行かなければならない。そう説明して、王弟フェルサーレンは側近を連れて部屋を出て行った。
 これを歓談と呼べるのだろうかと、暁王国の騎士は首を傾げていたのだが、そのような些事にこだわる人間は南陽王国の一行の中にはいなかった。
「ところで、何を話していたのだ?」
 アシャラーナは女神官と王弟の間で交わされた北方語による会話の中身を知ろうと尋ねたのだが、女神官は王弟殿下の協力を取り付けたと言うだけで、それ以外のことには口を閉ざした。余程、女王の耳には入れたくないようなことを言っていたのだろう。
「ラジィール!」
 くるっと振り返り、北方語を解する暁王国の騎士に矛先を向けた途端、トーヴァが何事かを東方語でつぶやいた。一瞬、硬直した赤毛の騎士は情けない顔で両手を上げた。
「申し訳ありませんが、陛下、私は全て忘れました」
 トーヴァは満足そうに頷き、東方語を解する中年の騎士は苦笑を漏らした。女王と女神官の脅迫手段は実に似通っている。
「ウェイ、そなたは記憶喪失になどなりはせんだろう?」
 女神官に劣らず諸言語に通じている青年を女王が睨みつける。近衛騎士は素直に頷いた。
「トーヴァは何と申しておったのだ?」
 ウェイは重い口をゆっくり開いた。
「存じません。聞き耳を立てる連中を遮断することに集中しておりましたので」
 渋面になる女王を見てトーヴァがからからと笑う。
「ウェイがいなければ、盗み聞きした連中をことごとく口封じして回らねばならないところでしたな」
 ごく真剣な顔でシェイドがさらりと言った。気が利かぬ男だとなじろうとしていた女王がぴたりと口を閉ざす。シェイドは別段、部下をかばい立てしたわけではない。女王になじられたところで、ウェイが気にかけるはずもなく、無駄なことを止めただけである。
「何人くらいが聞き耳を立てていたのだ?」
 シェイドが実際的な問いを口にする。
「五人ほど。いずれも、さしたる魔力を持つ者ではありませんでしたが」
 さしたる魔力は持たぬと言っても、相手は魔法士のはずだ。どうやら、この人物は将軍と同じで基準が一般と違うらしい。そこまで考えて、ラジィールははたと気づいた。
 将軍に勝ったという化け物はこの男か?
 改めて、とんでもない人間達と関わり合ってしまったものだと嘆息するラジィールだった。