女王と騎士

第三部 夢と現-百騎夜行編- (11)

 温暖な気候であっても、南陽王国にはしっかり冬が存在する。
 毛皮などまで身につける人間はいなくとも、この時期は毛織物がよく売れた。寒さに負けず、呼び込みをしていた織物商は並んで歩いてくる若い男女に声をかけようとして止めた。
 近頃では男女ともに騎士という恋人同士の姿を見かけるようにもなったが、今、こちらに向かって歩いてくる二人はそれに該当しなかった。
 織物商は他の若い娘に目を付け、言葉巧みに店の中へ誘った。その店先を騎士達は早足で通り過ぎて行った。
「あそこだ」
 若者が表通りから外れた小道にある二階建の建物を指さした。
 一間だけの部屋が横に並ぶ共同住宅で、住人は独身の通いの職人がほとんどだが、三人ほど王都警備隊の者が住んでいるという。
 王宮に隣接する王都警備隊用の宿舎は現在増改築中であり、王都警備隊に所属する人間の半数近くが王都内のあちこちで親類の家を間借りするなり下宿するなりして生活しているのだ。
 行方不明となったエルード・ネフザもまた下宿屋住まいだった。
「うわー、相変わらず、何もない部屋だね」
 同年代の多くの若者と比べると、かなり片付けの行き届いた空間に一歩踏み込むなり、エセルは呆れた声を上げた。
 片付いているというより、ものが無いのだ。妙に生活臭を感じさせない部屋である。
「これだからカエルの隠し場所にも苦労したんだよね」
 王宮で過ごした騎士見習い時代に予備の靴の中にカエルを押し込んだことのある少女は懐かしむように、しみじみした調子で言う。
 先に入って窓を開けたアインが振り返った。
「お前に隠す場所を提供しないように、片付けてあるんじゃないのか?」
 靴の中のカエルが発見された後に起きた二人の喧嘩で破壊された扉の修理を手伝わされたことを思い出し、アインは顔をしかめた。
 喧嘩を重ねた結果、エセルにしろエルードにしろ、騎士を辞めても指物師や大工として食っていけるのではないかというくらい、家具や建物の修理に熟練している。
「王宮に来る前からこうだったって、第一騎士団で一緒だった連中が言ってたじゃん」
 騎士見習いとして王宮に入るまで、身近に指導者のいない騎士能力を持つ子供は各騎士団において訓練を受ける。早い者は七、八才で親元を離れての宿舎暮らしが始まっていた。
 ぐるりと周囲を見回したエセルの視線が作り付けの棚の上で止まる。
「…アイン、あんたの目って節穴?」
「なんだよ?」
「あんな代物をエルードが置いているなんて変だと思わなかったわけ?」
 エセルは一見したところ水晶の置物に見える物体にびしりと指を突き付けた。
「え?珍しいとは思ったけど、エルードもこーゆーものを飾るんだと…」
「あの何にしても実用一点張りの男が飾りなんか置くわけないじゃないか」
 台座のついた透明な球を手に取ると、エセルはしげしげと眺めた。
 確証はないが、これは以前氷晶王国で見かけたことのある魔道具の一種ではなかろうか。
 エルードは魔法力を持つが、魔法士能力は持たない。エルードの持物であっても、「使う」のはエルードではないはずだ。
 ふとエセルは棚の上に残された小さな石のかけらに気付いた。
 それを指でつまみあげ、窓から入る光にかざす。
 半透明の緑の石は光に透けて輝きを放った。
 佳葉石。
 北の隣国で多く採れる半貴石だ。
 エセルは舌打ちした。
「…っとに、素直じゃない」
 どうせ手掛かりを残していくのなら、書き置きでもして詳しい説明をつけておけばいいものを。知りたければ自分で探せというエルードの愛想のかけらもない声が聞こえて来そうだ。
「なんなんだ?」
 興味津々の顔でのぞきこむ若者にエセルはちらりと一瞥をくれた。
「教えてもいいけど、トーヴァ女神官やヴェルシュ殿にこき使われる覚悟ある?」
 言葉に詰まった若者の肩をエセルはぽんぽんとたたいた。


 …いないわね。
 この半年ほどの間に神殿に新しく入った人間の名を記してある名簿を前にライカはほお杖をついた。
 探しているのは、名前だけでなく、ひょっとしたら性別をも偽っている可能性もある十代後半の少女だ。それでも十代後半で神殿に入る人間は少ないし、そもそもこの国では他国からの「修行者」を受け入れることも稀なので、該当する人間がいれば、すぐに分かるはずだった。管理の厳しいこの国の神殿で人知れず潜入するなど、まず不可能だ。
 それとなく神官見習い達とも話をして探ってみたが、新しく仲間に入った人間はいないようだった。
 神殿にはいないときっぱり言ってやって、さっさと出て行ってもらわなくちゃ。
 名簿を閉じ、立ち上がるとライカは保管者に名簿を返し礼を述べて部屋を出た。
 赤毛の少年、ファギルには少々気の毒ではあるが、該当者がいなくて助かったというのがライカの正直な気持ちだ。
 あの神経を逆撫でする馬鹿男。
 ライカは騎士オルトをそう心の中で呼んでいた。
 本来、短気な自分が必死に「気弱で、身にあまる魔法力を使いこなせない」女神官を演じているというのに、あの男はそれを邪魔する。
 腕利きの魔法士として国王の手駒になるなどまっぴらごめんだと思っているライカとしては本性を神殿関係者に悟られるわけにはいかない。
 私がどれだけ苦労して、おとなしい印象を保っていると思うのよっ。
 伏し目がちに廊下を歩きながらライカは心のなかで文句を並べる。
 はっきり言ってほとんど八つ当りなのだが、ライカ自身は気付いていない。
 オルトはオルトで女王に八つ当りされてることに慣れているために、さして気にも留めないのであるが、それがまたライカの神経を逆撫でにする結果をもたらす。
 この仕組みを理解しているのは当事者ではなく第三者のファギルだけだろう。
「ライカ」
 穏やかな声にライカは表情を和ませ、顔を上げた。
 初老の神官がにこにこと笑いながら立っている。
 彼女の育ての親とも言えるジュナル神官だ。
「君に会いたいと若い騎士殿が表で待っているよ」
 ライカは息を飲んだ。
 あの馬鹿っ!
 確かに三日後に神殿に来るようにとは言った。だが、夕刻に礼拝室で待っているようにと指図したはずだ。よもや忘れたとは言わせない。
 ぎりぎりとライカは奥歯をかみ締めた。
「いつの間にか、ライカもそんな年頃になっていたのだねぇ」
 妙にしみじみとした口調でジュナルが言う。
「幸せになるんだよ」
 違うっと思わず叫びそうになってライカは必死で自分を抑えた。
 ひきつった笑顔のライカに慈愛に満ちた笑みを向け、ジュナルは早く行って上げなさいと促した。
 ライカはぎこちない笑顔のまま礼を取ると、つい速足になりそうなのを抑えながら、歩き出した。その様をすっかり勘違いしている神官は微笑ましげに見送っていた。


 銀色のまつげがゆっくりと動いた。
 その下の青い瞳は文字の列を追っている。
 ヴェルシュの予想では、この女王の夫である青年も自分と同じ感想を抱いているはずだった。
「彼女は逸材だな」
 然りとヴェルシュは頷いた。
 彼らが話題にしているのは、先頃、辺境貴族の夫に先立たれて寡婦になった女性のことだった。
 彼女は自身の相続権を女王に認めてもらうために、取引を彼らに持ちかけて来たのだ。彼女の提供するものは、この数年にわたる北部一帯の貴族の動向に関する情報である。
「無能な親類に相続させるよりは、彼女に相続してもらう方が王国にとっても遥かに有益でしょうね」
「ああ。なにしろ、遺言状でわざわざ亡夫が彼女を相続人に指名しているんだ。領主としての手腕は確かなのだろう。…子供さえいれば、甥だの従兄だのがしゃしゃり出てくることもなかったのだろうが…」
 親子以上に年の離れた夫婦の間に子供はなかった。
「相続は最終的に認めよう」
 もう少し情報を引き出してからという言葉は声にせずともヴェルシュには伝わっていた。この件に関して彼らは女王から決定権をゆだねられている。彼らのいいように使えというのが女王の言葉だった。ただし、クルス・アディンにあの女を近付けるなという条件もつけられていた。信用はしているが、嫉妬心は別というのが女王の言い分である。
 ちなみに件の女性は現在、女王の夫に色香で取り入ろうとしたため、女王の勘気を被って宮廷への出入りを差し止められていることになっていた。彼女の敵達を油断させるためである。その敵達は、これで彼女が相続を認められることはないと喜び、彼女の存在を無視して勝手に相続争いを始めていた。
 クルス・アディンとヴェルシュが待っているのは、渦中の彼女に第三者が接触して来ることだった。
「罠と気付かれるかもしれないな。陛下が、ああいう気骨のある女性を無下に扱うことに違和感を感じないとも限らない」
「ですが、陛下は本気で嫉妬なさっていましたから、陛下ならやりかねないと逆に思われるのではないかと」
 その証拠に数人の文官が宴の後の数日間、不機嫌な女王の犠牲になっていた。女王の嫉妬心を煽り立てたのがヴェルシュだと文官達が知れば、恨みを一身に浴びることになろうが、ヴェルシュはばれるようなへまはしない。
 文官達ほど、今は国を離れている近衛騎士オルト・マフィズの帰還を心待ちにしている人間はいないだろう。彼がいれば、自ら進んで女王の八つ当りの対象になってくれるはずだった。いなくなって初めてわかる有り難さというものである。
「どうであれ、しばらくは待つしかないか」
 苦笑しながらクルス・アディンは言った。
「ええ。…ところで、例の魔法士は使えそうですか?」
 先日、世継ぎの君に神殿の教えを学ばせるという建前で王宮に入れた魔法士についてヴェルシュは尋ねた。
「かなり期待できる。魔法力に関しては言うことなしだし、技術もかなりのものだ。…彼女はウェイと同系統の魔法も使えるそうだ」
 近衛騎士の青年は軽く眉を上げた。
 ウェイの受け継いでいる「血」については、クルス・アディンを王宮に迎えた際に説明している。ウェイの持つ魔法力に違和感を覚えていたらしい彼はさして驚きもせず、その事実を受け止めた。
「先祖返りだと、向こうにいる『純血種』に言われたとか」
「…その人物については、聞いたことがあります」
 ウェイが王宮において「不審な」魔法が使われたと知らせた際に、氷晶王国で出会った純血種の男のことも話したのだ。
「古代魔法に関して知識があることは助かりますね」
「ああ。しばらくは彼女の手を借りて防御術を施すことに専念するから、他のことは任せる」
「はい。…一つだけ、申し上げておきたいことがあるのですが」
「なんだい?」
「陛下はノウィンの性別を誤解しております。順調に防御を強化し、円滑に政務を進めるためにも、しばらくは誤解を解かずにいた方がよいだろうと神官長殿はおっしゃっておりますが」
 二人の青年はしばし無言で向かい合っていた。
 自分の夫が、成年にも達していないとはいえ、若い娘と二人きりで仕事をするとなると女王が臍を曲げる可能性は大だ。
 実際には嫉妬心をかきたてられなかったとしても、それを口実に機嫌を損ねたふりをして執務をさぼろうとする可能性は更に大きい。
「…我々は陛下が誤解していることに気付かなかったふりをし、かつ、陛下に気付かせぬよう言動に注意する必要があるとういうわけか」
「ばれた時はしらを切り通すということですね」
 意見の一致をみた青年達は何事もなかったかのように次の仕事に話題を移行させた。


 王都の夜は一般の人間にとっては危険に満ちている。ましてや花街の表通りを外れた界隈となると尚更のことだ。
 しかしながら、我物顔で夜の街をのし歩く無頼の徒にも危険は存在するのである。
「そんなに急いでどこに行くんだ?」
 にやにや笑いを張り付けた三人組に行く手を遮られた女は驚いたように目を見開いた。暗がりでもかなり女の顔立ちが整っているのを見て取った男達はますます笑いを深めた。ほっそりした女は異国の血が混じっているのか、月光に照らされた髪は薄い茶色だ。
「美人は困るねぇ、すぐ虫が寄って来るから」
 女の付き添いの男、と思われた人物の上げた声は男達には意外なものだった。紛れもなく女の声だ。こんな細い男の一人くらい、と侮っていたのだが、男ではなかったことに逆に警戒心がかきたてられる。この辺りで男の服装をしている女はほぼ騎士能力者に間違いない。
 にこりと薄茶の髪の女はほほ笑んだ。
「虫よけは常備しているんですよ」
 ぱっと女が手を振ったかと思うと、男達はげほげほと咳きこんだ。
「な、なんだ…?」
「安心して下さい、ただの痺れ薬です」
 薄い布を口におしあてながら言った女の言葉が彼らの耳に届いたかどうか。
 折り重なるようにして男達は路上で昏倒していた。
 夜風がさっと彼らの上を吹き抜けていく。
「もう大丈夫ですよ、エセルさん」
 危険を避けて遙か後方に飛びのいていた女騎士に向かってシィンは声をかけた。
 エセルがゆっくりと戻って来る間に、女薬師はしゃがみこんで男の一人の脈をとった。
「…おや?」
「また効き過ぎちゃったの?」
「いえ、ちょっと痺れ過ぎて仮死状態になっただけのようです。騎士の方々は個体差があり過ぎて、加減が難しいですねぇ」
 立ち上がりながらシィンが溜息をつく。
「どうせなら、もっと危険な薬の実験台になってもらえば良かったのに」
「そういう薬を使うとヴェルシュ殿に怒られますから。先日は陛下にも釘をさされまして」
「陛下が?」
 そういう良識のある女王ではないはずだがと眉を寄せる。
「ええ、ヴェルシュ殿の髪を保持するために余計な負担はかけるなと」
 エセルは頭をかいた。
 どう考えたって、陛下の方が負担をかけているような気がするけど…ああ、そうか。もう陛下のことはクルス・アディン殿に任せればいいもんな。
「ちゃんと胃と髪によいお茶を調合して差し上げているんですけれど」
 そういう問題ではないとヴェルシュが聞いたら、こめかみを引きつらせることだろう。
「ま、今は役に立つことしてるんだし、いいんじゃない?」
「そうですね。…あ、そこの筋を入ったところです」
 女薬師に続いて細い路地にエセルは足を踏み入れた。この周辺は王都をよく知っている人間でも迷いそうなくらい、路地が入り組んでいる。
「まだ生きていらっしゃるといいんですが」
 この女薬師はしばしば悪気があるのかないのか見当がつかない言葉を発するが、多くの場合、悪気はないことをエセルは知っている。
 彼女の判断基準は一般のそれとは、かけ離れたところに設定されているのだ。
「シィンさんも若いのに顔が広いよね」
「商売柄、おのずとこういう界隈にも顔が利くようになるんです」
「でも、毒は売り物にしないんでしょ?」
「皆さん、解毒薬を私のところに求めに来るんですよ」
「ああ、なるほど」
 毒薬は多く出回っていても、解毒薬は手に入りにくい。シィンは趣味で毒薬の研究もしているが、それを売り物にすることはない。毒薬を作ると同時にその解毒薬も作るので、商売にならないとも言える。
「今夜は店を出しておられるようですね」
 路地の奥まったところに、うっすらと明かりが漏れている。近くまで来ると、その建物が家というよりも小屋と呼ぶにふさわしい粗末なものだということが分かった。そこは特殊な「さがしもの」をしてくれるという店だった。
 シィンがきしむ扉を押し開ける。
「こんばんは」
 老婆はゆっくりと顔を上げると、皺だらけの顔に笑みを浮かべた。
「おやおや、若い娘さんが夜歩きとは感心しないねぇ」
「それなら、昼間に店開きをして下さい」
 すましてシィンは応じる。
「それじゃあ商売にならないよ」
 更に顔に深く皺を刻み、笑った老婆はエセルが続けて入って来るのを見て、驚きの表情を浮かべた。
「おやまあ、本当に来たよ」
「え?なに?」
「お前さん、エセルというのだろう?」
 ゆっくりと立ち上がりながら老婆は言った。
「なんで知ってんの?」
「ちょいとお待ち」
 老婆はごそごそと後ろに置いてある篭を掻き回し、折り畳まれた紙片を取り出した。
「お前さんがここに来たら渡すように頼まれたものだよ」
「誰に?」
 エセルは首を傾げながら、それを受け取った。
「名前は知らない。お前さんと同じ年頃の若い男だ。五日も前のことだったかねぇ?」
「それって…」
 紙を開き、エセルは眉を寄せた。
 通りの名や店の名前が幾つか記されているが、それらに共通点は見つからない。
「ある魔道具があった場所を書いてあるんだそうだ」
 あたしは字が読めないから分からないがねと老婆はつけ加えた。
「魔道具って、これのこと?」
 エセルは背中に下げていた袋から、エルードの部屋にあった魔道具を取り出した。一度、それをエセルは神殿に持ち込み、神官長に魔道具かどうか確認してもらっていた。
 老婆は深く頷いた。
「あたしはそれと同じものの在りかを探すように頼まれたんだよ」
 エセルは眉を上げた。
「…その男、他に何か言ってなかった?」
「いいや。あたしも、何か伝言はないのかって聞いたんだけどね、必要ないと言ったよ」
 これだけ手掛かりを残しているのに分からない馬鹿に教えてやる必要はない、そう心の中では思っていたに違いない。
 エセルは鮮やかな緑の目を細めた。
 五日前。警備隊の連中と一緒に飲んでいた日だ。
 その酒席で、この年の始めに急死した神官のことが話題に上った。自分がその神官の身元に感づいたことにエルードは気付いたに違いない。彼は興味のなさそうな顔をしながら、意外に人をよく見ている。
 再びエセルは書き付けに視線を落とした。
 そこには魔道具の所在地として神殿も挙げられていた。
 更に、もう一つ。
 礼拝式で殺された男の家があった場所もまた記されている。
 これらを結ぶのが、緑森王国であることは間違いなかった。
「婆さん、これ、お礼。値打もんじゃないけど、そこそこの金にはなると思うよ」
 粗末な木のテーブルの上にエセルは小さな石を置いた。
「シィンさん、帰ろ」
「もうよろしいんですか?」
 おっとりと女薬師は首を傾げた。
「今晩のところはね。それじゃ」
「では、お婆さん、また来ますね」
 娘達が出て行くのを見送った老婆はテーブルに置かれた石に目を戻した。
 蝋燭の炎が揺れるに合わせ、石はやわらかい輝きを放っている。
「これは…佳葉石、だったかねぇ?」
 老婆はゆっくりと瞬きした。
 あの若者は森緑王国の人間だったのだろうか。これから、この国と戦をするだろうという国。
 溜息をつきながら老婆は肩掛けの前をかき合わせた。